虐殺器官のレビュー・感想・評価
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9.11後の世界情勢、言葉をめぐる深い思索、驚くべき結末
傑作!久々に「新しい」SF映画を観た気がする。
メタルギアの小島秀夫監督と互いに影響し合っていたことは知っていたが、作品を観て納得。そこかしこにメタルギアに通ずるエッセンスが見て取れ、逆にメタルギアソリッドVは「虐殺器官」からの影響もかなり受けていたのではと思った。
プロジェクトItoh3作品全てに大塚明夫さんが出演しているのはメタルギアの大ファンだった伊藤さんへの追悼も込められているのだろう。
すぐに原作を読むことを決断。
尺が足りない
二回観てきました。
まず、作画は素晴らしかったと思います。とても綺麗でディティールも細かく、リアルなSFの世界観が見事に表現されていました。伊藤計劃氏が頭の中で想像していたものとは勿論ある程度違いはあるのでしょうが、文章からあそこまで映像を創り出せるということに改めて驚嘆しました。
ただ、クラヴィスの過去についての話は削るべきではなかったのではと思います。あれがなければ、クラヴィスの命に対しての葛藤が描ききれませんし、また、あそこまでルツィアに惹かれた理由が説明できません。尺の問題で仕方なかったのでしょうが、そこが残念です。小道具なんかについても、原作未読だとよくわからないのではないかと思う部分がありました。
原作を過度に持ち上げたいわけではないのですが、やはり小説の方が面白かったです。未読の方は映画の後にでも是非読まれることをお勧めします。
期待通り
セリフがダサくて冗長
話の大筋は普遍性があるし、設定も悪くない。メカ描写も地味ながら力が入ってる。
虐殺する機能が人間に元々備わっている、というのも話としてまぁまぁ面白いかもしれない。
(殺人と虐殺は動機が全く違う気もするけど)
でも、セリフがダメ。多いし、普通そんな喋りする奴いないので鼻につく。映像なので不要な部分も多い。心理も全部言葉にしちゃってるし難解ではない。セリフについて行くのと設定を理解するのは難しい、というか面倒。
長い会話で画が停まるシーンが多く、せめてカットを割るとかしないと退屈。
この手のアニメには本当にこういうの多い。
でも制作は倒産もあって大変だっただろうし、よく形にしたとは思う。
難しかった。京極夏彦的な印象が。
原作読まずに鑑賞。見終わったあとにも、いろいろな感情と推測の嵐が頭の中に生まれます。これがジョンの仕掛けか??俺の器官が活性化してしまう(笑)
言葉の呪力、言葉は人にのみ効果があるツールで、理解してしまったら、脳が解釈してしまったら、意識の台座の私たちは逃れることができない。京極夏彦作品が好きな人には、良く分かる呪いの感覚だと思いました。ただ、やはり話が難しい。
ジョンは、自ら愛する世界を、脅かす存在と隔離するため、隠れた本能を利用して、世界の半分を根絶やしにしたかった。クラヴィスも、またアメリカに戻って、同じ根を英語で撒いた。これでは、何が何だかわからない。
どちらも愛する人を失って、その痛みから世界を壊したくなった。としか思えない。或いは世界は同じ歴史を繰り返しながら、虐殺の歴史を繰り返しながら、平和について考え、進化するというメッセージにも思える。
原作を読んだら
この呪い、解けるかな。
リアルなアメリカ社会のSF!
舞台の中心として置かれるテロの反動で国家第一主義が過激になったアメリカ社会というのが現在のトランプ大統領下のアメリカに沿っているように感じられるのがすごい。原作が2009年で制作は2015年の映画なのに。
そして主人公の所属するアメリカ暗殺部隊の装備が格好良い。乗務員が降りた後は溶けて無に帰したり、海に入れば魚の形になり泳げるようになる乗り物などSF好きの魅力たっぷりなガジェットがたくさん出てきます。
映画と原作を比較すると、主人公の母親のエピソードを全て消し去った分、複雑な部分が無くなって原作よりも映画は分かりやすくなっていると思います。ただ個人的には主人公のルツィア(本作のキーパーソンとなる女性)に対する執着は母親あってこそだと感じていたので、ちょっと残念でした。
それでも全体を通して面白かったです。ただ流血表現だけでは言い表せないレベルのグロテスクさなので、それが苦手でない方にお薦めしたいと思います。
面白い。
原作を読んでいなかったが退屈しないで見られた。
内容は、言葉の力だけで世界中で虐殺を唆すジョンポールを追う特殊部隊員の話。
はじめに思ったのが主人公のCV中村悠一、素晴らしい!この作品のような作風だと自分の場合すぐに中村悠一さんを意識してしまうので正直嬉しかった。
物語の中盤に出て来たルツィアと言う女性、これについてクラヴィスとウィリアムズとの会話で、
「気をつけろ、こいつ男をダメにするタイプの女だぞ。」
この台詞でもしやルツィアは…と考えていたらやはり。
そして時系列的に2016年と言うことで、
虐殺器官が発表されたのは2007年。
実際に書かれたのがもっと前だとして、同時想像していた2016年の技術レベルや街の風景と現実を比べてみると、少し進みすぎていたが割といい線いってるなと感じた。
我々が選ぶかもしれない未来を舞台にした映画
マスキング
マスキングとは便利な機能だ。是非使いたい。内容として、疾走感があって、原作を読んでなくともどうにかついていけた。しかし、深く入りこめないから読んでみようかな、と思いました。
原作を読んでいって観たら混乱しました
先日、映画『虐殺器官』を観て来ました。そして感想はというと……観終えた時、正直ものすごく混乱しました。
映画自体の出来について言えば、あの原作から上手く映像化したな、という印象。具体的には、アニメとして作画が素晴らしいクオリティですし、ミリタリーSF的要素については丁寧に忠実に映像化されていたり、また声優さん達の演技も良く、きっちり誠実に制作された作品でした。お金を払って観る価値はある映画作品だと感じました。
……が、繰り返しになりますが、原作を直前に読み返していた自分は、原作を読んでいた故、細部細部で混乱し、映画に没頭できない瞬間がありました。
それについて語りだしたら長文になったので、下記の通り自分のブログにて感想を書きました。
「原作を読んだ人が映画『虐殺器官』を観に行って大変混乱した話」
→プロフィールのURLのリンクからブログに飛べます
ほんとに上映に至ってよかった…!
よかった
珍しく原作を読んでいた。原作にあった、戦闘ミッションがはしょられている感じがしたのと、ジョン・ポールの動機が原作では腑に落ちたのが、映画では「なんで?」と疑念がわいた。原作ではどうだったのかよく覚えていないのだが、変更があったのだろうか。原作では主人公に共感を覚えていたのに、映画はすかしたイケメンで距離を感じた。お母さんのエピソードが削られていたからだろうか。原作の方が面白かった。
主人公チームが軍隊としてシステマティックに作戦を遂行している感じはとてもよかった。
原作を読んでないと、ついていけない作品。しかし!
元々は、第1弾として、公開される予定だった、この作品。
紆余曲折あって、第3弾となりましたが、それで良かったと思います。
映像のクオリティーが、他の2作品よりも良いので。
ただ、原作を読んでないと、さっぱりな作品だと思います。
小道具や設定については、「説明しなくても、ほぼ知ってるよね?わかってるよね?」というスタンスで進んで行くからです。
【原作に忠実】と言えません。
「おぉ~、そこを変えちゃうの?」という箇所があります。
それが★★★にした理由です。
(個人的には、2.8ぐらいです。
おしい!
あそことかを修正してくれれば、3.5は越えるのですが)
映像ソフトにする際に、ノーカット版として追加してくれないかしら?
でないと、次の『ハーモニー』に繋がっていかないんですけどね(^^ゞ
時間が経つほどに戦慄を覚えます‥‥
言葉を持たない頃の人類は、仲間が死んでも他の動物と同じように放置していた。しかし、『名前』の発見により個体識別ができるようになり、死んだ時には、その仲間の名前を口にすることで思い出す気持ちが生まれ、やがて埋葬することを覚えたそうです。
その後の『意識』の獲得も当然、言葉が先、ということになります。漠然とした概念(例えば、赤い、美しい、など)が先に頭の中にあって、後から、言葉で表現することを覚えた、ということではない。例えば、薔薇という花に対するバラという個体識別の言葉を持つことができて初めて、『薔薇のように』という比喩を使うことが可能になり、赤いという色の共通認識が作られ、別の人間にも伝えることが出来るようになったということです。
人権や平和への価値観が優先される、人類史上でも稀有な幸運に恵まれた現代の先進国社会に生まれ育った人間(少なくとも、意識の中に愛や命や未来についての物語を書いたり読んだり出来る領域を相当に持てる環境にいる人間)にとっては、人間らしさの根源は意識や想像力が先だと思い込みがちでなかなか納得し難いのですが、原始からの人間の脳の本質的な働きのひとつとして、『言葉にはヒトの意識を司る力がある』ということを改めて、思いしらされた気がします。
もしかしたら、現代のアフリカや中東の各地で行われている殺戮だって、キッカケはジョン・ポールではないにしろ、現地の支配層の人間が自己の治める社会の維持・生き残りのために、ある種の脳内殺戮器官が機能しているからかもしれない、と本気で考えています。
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