「「プロパガンダ映画」として観た時の他者への理解」神は死んだのか 琺瑯さんの映画レビュー(感想・評価)
「プロパガンダ映画」として観た時の他者への理解
クリスチャンの学生が無神論者の教授に対して「神はいるのか」を議論をして証明していくことがこの映画の見せ所であった。しかし蓋を開けてみたら、あくまで「敬虔なクリスチャン」対「理不尽な人々」という構図が全面に現れている。この映画は純粋な論戦を楽しむ(少なくとも、映画の予告ではそのような期待を抱かせる作りである)というのではなく、「キリスト教を信じれば救われる」というメッセージが強烈に押し込まれている。そのため、無神論者の教授のキャラクターはもちろんのこと、イスラム教徒も「不寛容な人々」であるような描かれ方をしている。しかしながら、イスラム教徒も無神論者も実際は不寛容であるかは不確かである。その点はこの映画を制作した人々にも言えることで、偏見を持って描写することで、この映画でのキリスト教側もまた「不寛容な人々」であると思える。相容れない他者を理解していくという点をもっと掘り下げて欲しかった。
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