「後味の良い映画ですよ!」マダム・イン・ニューヨーク 星のナターシャさんの映画レビュー(感想・評価)
後味の良い映画ですよ!
何よりも主役のシャシを演じるシュリデビの美しさ!!
ふとした時の表情が少女の様に清潔で可憐なのに
子供っぽくなくて美しい。
こんなに容姿に惹かれた女優さんは私的にはヘプバーン以来だと思う
前半にとても丁寧にシャシの日常が描かれている。
良いお母さんであり、お姑さんにも、旦那にも丁寧に接して
ちゃんとお得意さんがいるくらいのインド菓子の名人。
何が文句あるんだ!!と言うくらいパーフェクトな嫁の
たった1つの楽しみのお菓子作りを止めろ!と言う旦那なんか
その時点でダメダメなのに、なんとこの素敵な奥さんは
自分の事を英語も喋れない古風な女で良かったの?と
旦那に訊いたりする。
旦那は「一目惚れだからそんな事考える暇もなかった」と答える。
えっ、顔に惚れたのかい!!
英語が喋れない事を娘と一緒にバカにしたり、
事ある毎に料理しか出来ないなんてシャシを見下す旦那は
実は一番古くさい男尊女卑おとこなのだ!
そんなシャシがニューヨークで必要に迫られて英語教室に入る。
この教室のシーンが良い!
私も大人になってから必要に迫られて社会人教室に通った経験がある。
学生時代と違って同じ目的を持った大人が利害関係もなく、
出来ない事を恥ずかしいと思わず、
一から何かを勉強する楽しさと吸収力は半端ない。
だから皆で助け合って英語を勉強するシーンをインド映画らしく
楽しいミュージカル仕立てにしてありとても観易い。
そして、その中で親しくなったフランス人男性とのふれあいも
フランス映画なら小粋なロマンスにしてしまう所が
そこはやはりインド映画であり真面目な主婦の物語である。
簡単に靡いたりしないし、必要以上に接近してくる彼に
私は主婦だから!ときっぱり言い放つ態度も素敵。
ただ、彼の存在がシャシに自信を取り戻させてくれた事には
素直に感謝してみせる。
こういう所が、見た目は可憐で少女のようだけど、
心は成熟した大人なんだな〜と感じさせてくれる。
そしてその分別が表れるのが最後のスピーチ。
そのスピーチの中で、男尊女卑旦那を必要以上に責める訳でもなく、
生意気盛りの小太り娘を頭ごなしに叱りつける訳でもなく、
穏やかな語り口と言葉で、夫婦はお互いに平等であり
家族こそが一番の味方であるべきだ!と訴える。
そして、旦那の小さな心使いにも感謝の笑顔を観せる。
とても後味の良いさわやかな映画だった!
以前はアメリカ映画にも女性が男社会で成長する作品が多かったけど
今はアメリカも女性の方が強いのでこの手の映画がめっきり減ってしまった。
ただ、日本はまだまだ女性の地位が低いので
今時のアメリカ映画より、このインド映画の方が共感出来ると思う。
インドでこういう映画が大ヒットしていると言う事は
有る有る!なんて共感しているうちに、
日本の女性の地位はインドにも抜かれちゃうんじゃないだろうか?
と不安になったりして…。