「人の生死を決めるのは神ではない」イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密 merさんの映画レビュー(感想・評価)
人の生死を決めるのは神ではない
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鑑賞の順番的にこういう感想になってしまうのだが、「戦争と天才学者」というテーマや構成(戦後、戦時下、過去の行き来)が「オッペンハイマー」に似ている。どのくらい史実に基づいてるのだろう?と思ったら、細かい仕事や軍との関係はさておき、チューリングと周りの人物や性格は再現されているようでびっくりした。
パブリックスクールでのいじめエグいなと思っていたら、クリストファーという人格者というかもはや天の声みたいな友達に救われ、そりゃ名前付けたくもなるわ……。ジョーン・クラークも実際にブレッチリーパークに勤めた優秀な学者で婚約の話も実話だそう。ジョーンがいなかったら解読チーム解散してましたよね、きっと。彼女とチューリングの、性愛はないけれど愛のある関係、目の前のことに対しては正しくないけれど神の代わりに正しいことを選び続けなければならない使命に心が動かされた。
戦後わいせつ罪に問われ「治療」に入ったチューリングの表情、けいれん、涙がほんとうに辛くて、カンバーバッチの演技に脱帽。ジョーンとは実際に再会していたのだろうか。ジョーンでなくても、(マシン以外の)誰かがいてくれたらならいいな…。生前報われることのなかった天才数学者の、悲しい(だけではない)物語。
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