「当時の社会問題に踏み込んだ伝記映画」イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密 スクラさんの映画レビュー(感想・評価)
当時の社会問題に踏み込んだ伝記映画
第二次世界大戦中、ドイツ軍の暗号エニグマの解読で功績を残したアラン・チューニングの伝記映画。
偉人の人生を知るってよりは当時の社会に存在した問題を認識させてくれる映画だった。
同性愛や女性の社会進出について、今の日本でも時々話題になっていることがこの映画では
第二次世界大戦前後の社会問題として映し出される。
こういう考えるきっかけを与えてくれる映画っていいよね…。
今回は映画の感想ってよりこの映画のおかげで改めて考えてみたことを書いてみる。
この映画で知ったんだけど、イギリスでは1967年まで同性愛は違法だった。
同性愛を理由に逮捕されるなんてにわかに信じがたく衝撃だった。
今、日本はLGBT法の整備などが議論され、諸外国より「遅れている」と批判されているけど、
良くも悪くも欧米に比べて同性愛に対して関心が無かった歴史があるからこそ、未だにしっかりと議論がされなかったのかな。
この映画で取り上げられているもう1つの問題が女性の社会進出。
キーラ・ナイトレーが演じるジョーンは、女性であるがゆえに秘書の仕事をしに来たと勘違いされたり、
25歳にもなって結婚せずに仕事をしていると批判されたりと当時の社会の考え方が浮き彫りになっている。
今だったらあり得ないと思う人もいるだろうけど、性別で判断するって今でも実際に起こっている。
しかしながら、それらの問題って当事者でないと気づくのが難しくて、経験したことが無い人の中には勘違いして
「性別で判断するなんて今の世の中では起こらない」と思ってしまう。
だから、この映画のように問題を浮き彫りにしてくれる作品を観ることって大事だと感じた。
社会問題を考えるきっかけだけでなく、映画の良さを再認識させてくれる作品だった。