「悲しき天才アラン・チューリング」イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密 といぼさんの映画レビュー(感想・評価)
悲しき天才アラン・チューリング
「めちゃくちゃ面白い」という知人からの紹介で鑑賞しました。解読不可能と言われた「エニグマ」の解読を成功させた天才数学者アラン・チューリングを描いた作品です。
結論から言うと、めちゃくちゃ面白い。戦争シーンがほとんど描かれない戦争映画というと、2019年公開の日本映画「アルキメデスの大戦」を思い出します。あの映画も天才数学者が戦争に立ち向かうストーリーでしたね。
この映画ではいかにしてアランがエニグマの解読をしたかが描かれますが、エニグマ暗号を発明したドイツではなくアランの属するイギリス軍上層部が敵であるかのような描かれ方をします。アランのやっている作業の重要性を理解できず、アランを解雇しようとしたりスパイ容疑をかけてきたりします。このあたりの展開も「アルキメデスの大戦」に近いですね。最初はいがみ合っていた仲間と和解して協力したり、様々な困難を仲間の協力やとっさの機転、持ち前の発想力で乗り越えていく展開は胸が熱くなります。
そしてあの衝撃のラストシーン。あまりの衝撃にポカンとしたままエンドロールを終わりまで眺めてしまいました。決して後味が良い終わり方ではありませんが、最高のエンディングだったと思います。
また、この映画は「エニグマ」に対するイギリスのその後の対応やチューリングのその後について非常に簡略化して描いているため、映画鑑賞後に調べてみると更に楽しめると思います。
例えばエニグマの解読を最高機密として戦争が終わってからも隠し続けた理由として「イギリスがエニグマ暗号機を「絶対に解読できない暗号機」として販売して大儲けし、更に世界中の秘密通信を傍受してイギリスが世界のトップに立とうとする陰謀があったから」だという逸話があったり、チューリングの自殺は「青酸カリの服毒自殺」であったり(作中に青酸カリが登場するシーンがある)。
歴史を知った上で観ると、更に映画を深く知ることができるという作りこまれた内容になっています。
本当に面白い映画でした。この映画は色んな人に観て欲しいオススメの映画です。