「善悪の目。」ビッグ・アイズ ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
善悪の目。
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日本もつい先日まで、ゴーストだの嘘つきだのが席巻していたが、
(気付けばドラマでもやっている)こういった関係、とりわけ今作の
場合は夫婦になるので、本当のところは当事者にしか分からない。
お互いの合意の元で長らく活動していたとなれば、同罪だと思うん
だけど、片方が搾取に染まったり、片方に野心が芽生えたりすれば
いつか自ずと壊れていくに違いない関係だと思う。
だからどちらかが善でどちらかが悪というわけではなく、どちらも
嘘つきです!ってことで制裁を受ければいいんじゃないの?と思う。
そんな視点からバートンは、善悪両面をユーモア全開で描いている。
どう見てもヴァルツ夫は饒舌極まりないインチキ男に違いないが、
アダムス妻だって相当性質が悪い。男運がないうえ、決断力もない。
自分で売り捌く自信がないから男に頼ったところも大きい。そういう
時代だったから仕方ないとはいえ、云わずしての言い訳に過ぎず、と
イジワルな私などは思ってしまうのだ。散々稼ぎまくって豪邸に住み、
娘にすら仕事部屋を見せず騙していたとは。開口一番「バレてるわよ」
に大笑いしてしまった。娘には母親の弱さがちゃんと見えていたのだ。
狡猾な夫になぜ10年も仕えていたのかが疑問だが、これではダメだと
やっと重い腰を上げて逃亡した母娘が真相を告白し、裁判へなだれ込む
のが後半の見せ場。語り口はスムーズでファンタジーめいた箇所もない
(一か所だけあるけど、あれこそバートン節)作品になっているけど、
大きな目に秘められた現実が彼を惹きつけたことだけは間違いない。
(この目が団体で並んでいると更に怖い。見物するならカネをくれ!?)
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