「ゴージャスなおとぎ話」美女と野獣(2014) ロロ・トマシさんの映画レビュー(感想・評価)
ゴージャスなおとぎ話
まず、冒頭で「物語をとても丁寧に語っているなあ」という印象を持ちました。
何しろ、なっかなかね、なっかなか主人公ベルと野獣王子が出逢わないのですよ。むしろ最初は彼らよりベルのお父さん(財を失った商人)が主役なんじゃね?ぐらいに出逢わないので。
つまりは最初に自分が感じた印象通りというか、物語は終始その調子で「丁寧」に紡がれて行くんですよね。物語がこうも丁寧だと、やっぱり監督のこだわりなんですかね、衣装もセットもVFXも丁寧で。ハリウッド映画とはまた少し毛並みの違う、優雅なフランス映画を観せてもらっているなあ、という贅沢な気分に浸れました。
ベル役のレア・セドゥは本当に可憐でした。そしてその美しさの中にも、ただ守られるだけのお姫様って弱さはなくて、運命に立ち向かって行く力強さみたいなものをしっかりと表現していました。まあ、あのレア・セドゥですから。彼女といえば『アデル、ブルーは熱い色』で短髪を青に染め上げたレズビアンっつー超個性的な役をこなした女優さんですから。
野獣王子のヴァンサン・カッセルも良かったです。細身で長身な、エレガントさとワイルドさを併せ持ったような演技は彼の得意とするところですものね。
序盤中盤はゴージャスな舞台での優美なファンタジー。終盤はその舞台がカタストロフするハードな展開へとなだれ込み、ラストは大団円。と、非常に高次元でまとまった映画でした。
堪能しましたよ。
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