「庶民的な感じから美女に変貌するヒロイン役レア・セドゥは良かったが、野獣が今一つで、宮崎駿的自然観も魂が入っていない?」美女と野獣(2014) Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
庶民的な感じから美女に変貌するヒロイン役レア・セドゥは良かったが、野獣が今一つで、宮崎駿的自然観も魂が入っていない?
クリストフ・ガンズ 監督による2014年製作(113分)のフランス・ドイツ合作映画。
原題:La belle et la bete、配給:ギャガ。
美女、本当?と思っていたが、ヒロインが007映画でお馴染みのレア・セドゥであることに、しばらく経ってから気がつく。このヒト、その辺の女の子っぽい庶民性も同居するせいか、愛を自覚し自分の意志で城に戻る以降の凛とした美女への変貌ぶりに、目を見張らせられた。
野獣のメイキャップは安っぽく着ぐるみ的で、あまり気に入らなかった。加えて王子役のバンサン・カッセルもイマイチに思ってしまった。もう少し、高貴な貴公子的なキャラクターが欲しいと。
古城内部の造形は良かった。その周りの美しいバラと城を守る様な棘が、自然の意志の様。そして、悪い人間に襲いかかり巻き付くツル状の茎も印象的であった。監督本人も言ってる様に、宮崎駿的自然観は感じさせられたが、自分自身の信念とはなっておらず単なるファン的というか、どこか表層的な部分は感じてしまった
巨人の登場にはビックリだが、日本の三隈監督作品(残念ながら見ていない)へのオマージュだとか。ただ、突飛な出現で、物語へのソリューション的な組み込みも無く、あまり効果的ではなかった様に感じた。
最後、レア・セドゥがこの物語を二人の子供に語る。外にはかつて野獣だった夫がいるという二重的な構図は、なかなかお洒落と感じた。
監督クリストフ・ガンズ、製作リシャール・グランピエール、脚本クリストフ・ガンズ サンドラ・ボ=アン、撮影クリストフ・ボーカルヌ、美術ティエリー・フラマン、衣装ピエール=イブ・ゲロー、編集セバスティアン・プランジェール、音楽ピエール・アデノ、クリーチャーデザインパトリック・タトポロス。
出演
バンサン・カッセル野獣/王子、レア・セドゥベル、アンドレ・デュソリエ商人、イボンヌ・カッターフェルトプリンセス。