「哀愁ハードボイルド」ハミングバード 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
哀愁ハードボイルド
元○○とか裏社会とかあらすじだけ見るといつものステイサム・アクションのようだが、これがなかなか渋みと哀愁のあるハードボイルドだった。
特殊部隊中に犯した罪から逃げるように、ロンドンの路上でホームレス生活を送る主人公。
その時心を通わせた少女が何者かに殺された。
裏社会に潜入し、復讐を誓う…。
冒頭、ロン毛にヨレヨレの服装、ボロボロの姿にステイサムと気付かなかったくらい。
その腕っぷしを活かして、チャイニーズ・マフィアの“何でも屋”になってからはいつものスキンヘッドにビシッと着こなしたスーツ姿。
確かに最初、主人公が何をしたいのかよく分からなかった。
でもそれは、主人公自身が今逃げおおせて生きている意味も目的も定まっていなかったからだと思う。
殺された少女の為の復讐は、罪に罪を重ねているに過ぎない。
彼自身もそれは充分分かってたかもしれない。
結局罪を重ねる事しか出来ないろくでもない自分。
そんな自分に何が出来るか。
せめてもの罪滅ぼしなどではない。
せめてもの自分が出来うる人間らしさとして。
シスターとの交流。同じく暗い過去と罪を背負い、淡く惹かれ合う。
別れた妻子への想い。娘へ贈る写真と、握手…。
派手なアクション・シーンは無い。
そんな人間臭い姿が、いつものステイサムよりカッコよく、図らずも目頭を熱くさせた。
それらを踏まえ、やはり当代一ハードボイルドが似合う男だ!
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