オマールの壁のレビュー・感想・評価
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友情も愛情も分断する高い壁
最初は「バーバリアンズ」と同じ感じかな?と思っていたのだけれど、この作品はもっとパーソナルというか。オマールの行動から、抑圧された街で暮らすことが、いかに友情や愛情を破壊してしまうのかが、ありありと伝わってきます。
最低でもこの「分離壁」とはなんぞやぐらいは頭に入れてから観たほうがよいでしょう。
余談ですが、、主役を演じたAdam Bakri、来日したときは髪を伸ばしていたみたいですが、あれぐらい凛々しい精悍な顔は、やっぱり短髪が似合います(笑)。
目眩。
西岸、分離壁、暴力、インティファーダ。
仕事、恋、友、家族、故郷、民族、宗教、国。
厳しい環境下のうち、更に厳しい状況下で暮らすオマール。
しかし、どんな環境であれ、人は食べて、働いて、恋をする。と同時に、人と対立し、憎しみ、衝突するのもまた人間。
八方塞りに陥ったオマールは、何処へむかうのか。
日本に生まれ、空調の効いたビルの一室でスクリーンを見つめる自分と、そのスクリーンの向こう側の現実、その余りの隔絶に目眩を覚えた。
パレスチナの現状を知らなけばいけないのかもしれない。
パレスチナの歴史、イスラエルの地理や政情をしっかり把握していなければ、この映画を良さ、素晴らしさを感じることは無理。主役のオマールが「分離壁」を乗り越える場面は圧巻。
オマール、タレク、アムジャドこの3人は幼馴染。映画を見ていく
うち、スパイは誰かが察しがつく筈とは思われる。オマールは何度も拷問での顔が血だらけグチャグチャになっているが、なぜか数日経つともとの綺麗な状態に戻っている。誰が裏切っているのかそうでないのか?
この国で、民族の本当の幸福を手にするのは、まだまだ遠い道のりでであろう。最後、オマールが壁を乗り越えられない場面、エンドロールは、全く音楽がなく無音の状態で幕を閉じたのは、今現在、パレスチナでは何が起きているのか、現状(政情 等)がどのようなものか考えさせられる。
壁
パレスチナ問題の現実を描きつつ友情、恋愛、生活観を配してシリアス一辺倒になり「過ぎ」ない感じが良かった。(主人公側から見ての)敵との駆け引きはスリリングで、捕縛、開放を経ての心理の変化は繊細。目の前の「壁」と心理的な「壁」。
思い込みは、いけない!!コミュニケーションを密にして、事実の確認を!!
自分の人生の幸福が、友人、知人のみならず、他人への嘘や裏切りの上に成り立つハズがない!!
誠実であれ!!そして、思い込みはいけません。何が『真実』『事実』なのか、コミュニケーションを密にして、確かめるべし!!
嘘と裏切りの世界で青春は砕け散る
パン職人の青年オマール(アダム・バクリ)。
彼は、パレスチナ自治区内に高くそびえる壁を乗り越えていく。
壁の向こうには、兄のように敬愛するタレク(エヤド・ホーラーニ )と彼の妹ナディア(リーム・ルバニ)が暮らしている。
タレクはハマスの一員で、幼馴染のオマールとアムジャッド(サメール・ビシャラット)とともにイスラエル軍に対する襲撃計画を立てていた。
オマールはナディアに恋していた。
アムジャッドもまたナディアに恋していた。
そして、イスラエル軍襲撃の数日後、オマールはイスラエルの秘密警察に捕えられてしまう・・・というハナシ。
映画は、自由などほとんどないパレスチナでの生活を写していくが、襲撃事件ののちはほとんどサスペンス映画の様相を呈していきます。
収監されたオマールはイスラエル警察の罠にはまり、懲役90年の刑か、それとも警察の協力者になるかを迫られ、ついには協力者の道を選んでしまう。
それは、嘘と裏切りの渦巻く世界に足を踏み入れることとなり、ナディアへの愛情を全うすることが困難な状況となってしまう。
あれれ、なんだかこんな映画は過去にたくさん観たような・・・そんな思いが募ってくる。
第二次大戦下の戦争映画、冷戦下のスパイ映画、それらのジャンル映画とあまり変わらない。
しかし、そんな世界がいまだ世界のあちこちにあるということだ。
この現実は重い。
しかし、映画単体として観て、この映画、どうなんだろうか。
やっぱりジャンル映画にみえてしまう。
この映画、新世界国際劇場や今はなき新橋文化劇場の2本立て・3本立ての1本として紛れ込んでいても不思議はない。
だからジャンル映画であることが悪いというわけではなく、多くのひとに接する機会が増えるためにはジャンル映画であることが重要なのかもしれない。
それでも・・・
もう少しパレスチナ人の生活描写がほしかった。
ここいらあたりが残念。
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