「君がきれいだからまた寝たいんだ」勝手にしやがれ mittyさんの映画レビュー(感想・評価)
君がきれいだからまた寝たいんだ
ジャン=リュック・ゴダールの映画など、自分には理解できないだろうと思っていたのですが、トリュフォーの映画をいくつか観て、クロード・シャブロルもちょっとかじったりして、ヌーヴェルヴァーグが気になってしかたないこの頃なのです。
古典的なフランス映画に傾倒しているわけでないので、これが斬新なヌーヴェルバーグだ!と言われても正直、ピントこなかったのですが、テンポが良くて、まあまあ見応えがありました。BGMのジャズだって洒落てるし。万人に同じ感動や感慨をもたらす映画ではなく、個人の感性に訴えかける作品。だから、つまらない人もいれば、最高!という人もいるでしょう。もっと難解なのかと思っておりました。ストーリーはそれほど複雑ではありません。
自動車泥棒のミシェルが警官を射殺してしまい指名手配され逃亡する話。ミシェルはアメリカ娘のパトリシアにぞっこんなのだが、なかなか会話がかみ合わず相手にされず。結局、パトリシアの密告によってミシェルは行方を警察に捕まれてしまう・・・そんな話です。
続けて2回観てしまいました。1回目は普通にストーリーを追って。2回目はモノクロのパリの景色などがきれいだなあと思いながら、ミシェルとパトリシアの会話のちぐはぐを楽しんだり。なんといっても、ジャン・ポール・ベルモンドがチンピラみたいで欲望だけで生きているんだけど、なんか、かっこ良くて絵になってる! パトリシアのベッドにもぐって上目遣いになるところは、母性本能、くすぐりますねえ。パトリシアとベッドを共にすることしか考えてないミシェル、わかりやすーい。でも、強引に押し倒したりはしない。ある意味紳士的? パトリシアをながめてその気にさせようとあれこれと褒めるのだが、パトリシアには全然、伝わらず。車を盗むは、人のお金をくすねるわで無茶々なんだけど、ミシェルは憎めない。
ラストの言葉の意味が気になってしかたありません。
ミシェルの断末魔の言葉が「最低だ」(dégueulasse デギュラス)。これは、ミシェル自身の生き方とか人生そのもののことですよね。なのに警察はパトリシアに「あなたのことを最低だ」と言ってますと伝える。何か意味があるのかな。そして、パトリシアはミシェルのいつもの仕草をまねるように、くちびるを親指で撫でてエンディング。
そういえば、少し前に観た大島渚監督の映画『青春残酷物語』。ジャン=リュック・ゴダールが感嘆したといい、日本のヌーヴェルヴァーグとも言われているらしいです。制作年は1960年だから同年代。どっちが先かは知りませんが。確かに、若者の無茶な生き様はこの「勝手にしやがれ」と共通するものがあるような。ラスト、終わり方も似ているような。