劇場公開日 2016年7月30日

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「なにかと残念なことが重なるなぁ」ターザン:REBORN うそつきカモメさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0なにかと残念なことが重なるなぁ

2022年9月18日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

字幕スーパー版2Dで鑑賞。

まずは、良かった点から。
・クリストフ・ヴァルツ、サミュエル・L.ジャクソンを配した効果的なキャスティング。「ジャンゴ」の夢よもう一度。これがこの映画を見たくなった動機の8割でしたが、さすがの名優たち、二人とも、歴史上の実在人物を自分の色に染めています。

・久しく語られていなかったターザンの物語を最新のVFXで迫力たっぷりに描く映像。「人間と会話しない」動物たちが効果的に演技しています。ターザンを陰影も加えて描いてあり、より現代的なヒーロー像を体現した映画。特に、象の群れと交流するシーンは出色の美しさ。

こんなものだと思います。

次に、不満な点ですが、

・前時代的、アメリカン・ヒーローである「ターザン」を大胆な解釈を施して現代に通じるスタイルに再構築したこと。これは賛否両論あると思いますが、私は迫力不足に感じました。野性味がまったく無かった。

・ストーリーがリアルな分、ターザンの異能力が全然リアルじゃなくなったこと。野生動物を従えて行軍するターザンは絵空事にしか思えない。彼らがターザンの味方をすることまでは理解できるとしても、なぜ積極的にターザンの敵に襲い掛かるのかという謎。

・野生動物も含めた、キャラクターが多牌で、悪役のヴァルツがかすんでしまったこと。彼が裏で企んでいた悪事はともかく、表向きは「愛妻ジェーンをさらった憎い男」という単純な図式で、ターザンの成し遂げたことがすごく個人的な動機に見えてしまう弱いストーリー。

・コンゴの文化または、アフリカの情動やスピリットをうまく表現した民族の祭り(素晴らしかった)をもっとフィーチャーして欲しかった。アクション・シーンに比重を置いた編集。美しく、幻想的なラブ・シーンもすぐ終わった。

・(これは映画の出来とは関係の無い部分なのですが)少なくとも宣伝を担当した映画のスタッフは猛省して欲しい、本編上映前の映画の予告編や、CFの構成。ちなみにこれでもかと差し込まれた「ジャングルブック」の予告は、こっちのほうが面白そうに思えたし、内容がかぶりまくりもいいところ、むしろジャングルブック公開後にターザンを公開したほうが、興行収入的には良かったんじゃないかと思えるほど。さらにはiPhoneで撮影したリアルな動画(カバが超迫力で泳いでいるヤツ)なんか、映画の前に見せちゃダメでしょう。

個人的な感想としては、このシリーズの続編を見たいとは思いませんでした。

2016.8.1

うそつきカモメ