「ターザンは美しく、アクションはリアリティーがない」ターザン:REBORN kazzさんの映画レビュー(感想・評価)
ターザンは美しく、アクションはリアリティーがない
アフリカのコンゴがベルギー国王レオポルド2世の私的領地として統治されていた時期が、物語の舞台。
ターザンことグレイストーク卿が、破綻しているはずのコンゴ投資の裏で原住民を奴隷として売りさばいている実態を調査するため、妻ジェーンとともに故郷に赴く。
が、そこには陰謀が待ち受けている。
まず、映像の美しさは特筆したい。
生い立ちを説明する回想シーンの挿入もうまい。
が、しかし・・・。
物語そのものが、ボケていたように思う。
登場人物の夫々が何をしたいのか解らない。
ジェーンはなんのために同行したのか。単に懐かしいアフリカに行きたかったから、わがまま言ってついて行ったが、拐われちゃってターザンを窮地に陥れることになってしまった…ような。
物語の根幹が妻の救出劇なのだから、ジェーンが同行しなきゃ始まらないのだけれど。
サミュエル・L・ジャクソン演じるワシントン・ウィリアムズは実在の人物で、
レオポルド2世の圧政によるコンゴの惨状を視察して本国に報告した事実はあるらしい。
勇名を馳せた軍人らしいので、ターザンと一緒にジャングルを駆け抜ける姿にアメリカ人は納得いくのだろうか。
息を切らせながらも、ちゃんと着いて行けてたあたり、違和感があったのだが。
ターザンを息子の仇と憎悪している族長は積年の恨みをあっさり解消するし、
傭兵軍を組織してコンゴの制圧を目論むクリストフ・ヴァルツ演じる悪役は、徹底した悪党ぶりは良いのだが、ターザンに直接恨みがあるわけではないと思うと、執念の向き先が解りづらいし、
ゴリラのボスに至っては敵だか味方だか解らない。
CGによるアクションシーンはダイナミックだが、リアリティーがなさすぎる。
ラストの動物たちの突進は、あまりにも唐突。
主演のアレクサンダー・スカルスガルトの容姿・身のこなしの美しさ、ジェーン役のマーゴット・ロビーの凛々しさは、本作の宝だろう。