「宮部みゆきさんの香りがしましたよ。」ソロモンの偽証 後篇・裁判 にゃらんさんの映画レビュー(感想・評価)
宮部みゆきさんの香りがしましたよ。
レビューが賛否両論で割れていたので、あまり期待せずに観ましたが、そのせいもあってか私は期待を裏切られたとは感じませんでした。
本を敢えて読んでいなかったのですが、たしかに原作の方がよりエピソードも多いだろうし、割愛されている部分も多いだろうと想像出来る部分もありました。
しかし、この映画からたしかに宮部みゆきさんの香りが感じられましたし、『読んでみたい』と思えました。
完璧な被害者も完璧な加害者もいない当事者達と、無意識の完全なる加害者『噂や思い込み、先入観』の戦い。
勧善懲悪ではない日本的な映画だと思いました。
これはサスペンスであっても、自分の中に答えを見つけるサスペンスなんじゃないかと思います。
新人さんたちは演技力としては難があっても、この設定は若くなくちゃ出来ない『学校内裁判』というものの勢いを、新人さんだからこそ精一杯という勢いで説得力を与えていたと思います。彼等じゃなきゃ出来なかったんじゃないかと思えます。
この映画を観て私は『良かった』と思っています。
ちなみに、『ソロモン』とは古代イスラエルの王さまです。神に盛大なささげものをしたことで、神がソロモンの夢枕に立ち、「何でも願うものを与えよう」というと、ソロモンは知恵を求めました。神はこれを喜び、多くのものを与えることを約束しました。ここからソロモンは知恵者のシンボルとなり、ソロモンが子供のことで争う2人の女の一件で賢明な判断を示した逸話は広く世界に伝わり、後に江戸時代の大岡裁きの話にも取り込まれました。
このことから、長きにわたってユダヤ教の伝承ではソロモンは知恵文学の著者とされています。
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