劇場公開日 2017年3月24日

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「孤独な無人島サバイバルならぬ有人船サバイバル」パッセンジャー フリントさんの映画レビュー(感想・評価)

孤独な無人島サバイバルならぬ有人船サバイバル

2017年3月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

興奮

幸せ

孤独な男が宇宙漂流をして生涯を終える話

予告編を何度か見ていたので、大体の物語に対する予想は付いていたがそれでも新鮮なSF見れた。

主人公の孤独はさながら無人島に漂流した様で、宇宙の孤独も無人島の孤独も共通なのだと感じた。
大自然による外界との遮断、人工プログラムによる外界との遮断、初めての場所、誰もいない、約束された孤独、新しい解釈の漂流もの映画だと思った。

冷凍睡眠から早く目覚めてしまった映画で思い当たるのはベン・フォスター主演の「パンドラム」、こちらの作品はSFホラーでなかなかエグイ内容、モンスター、生存者との駆け引きなどが見どころ。

「パッセンジャー」は人間ドラマとハプニング、少しの謎解きで物語が進む。

主人公の目覚めてからの困惑と絶望、葛藤など普段のちゃらけたクリス・プラットとは違った演技が見れて改めて実力を知ることができたし、ヒロインのジェニファー・ローレンスの育ちが良くていい女感もすごく良かった(以前はハンガーゲームのタフなイメージが強かった)

バーテンダーアンドロイドの役者、ギリギリ血の通ってない感じとそれでも話していたくなる様な演技が良かった。

宇宙孤独モノと言えば「ゼロ・グラビティ」「インターステラー」「オデッセイ」などの骨太SFが頭に浮かぶ、これらの作品に比べれば大分一般向けだし話が単純でわかり易いかった、深い設定やSF知識がなくても楽しめる。

一人だけで孤独に死ぬ運命の男、パートナーの出現、宇宙船の危機、そして向かえる最後はなかなか感動的で、絶望の中でも愛すべき伴侶がいればどんな事でも出来るのだなと思った。
命に代えても守る、主人公の姿勢には胸を打たれたし、ヒロインの「あなたが死んだら、私も死ぬ」のセリフが出た時は素直にいい関係だなぁと思った。
色んな苦難を乗り越えて真の愛に到達した二人が選んだ最後も良かったし後味のいい映画だ。

宇宙船クルーにアンディ・ガルシアがいるのだが、あまりに出番が一瞬なのでもしかしたら続編があるのでは?と知人が言っていたがどうなのだろう。
続編が出てもロクなことにならなさそうだが、期待せずにいよう。

ヒロインの役名がオーロラなのは「眠れる森の美女」からきているのだと思うが、なるほどこれ以上ない名前だと思った。

SF素人から玄人まで満足できる内容だと思うし「ラ・ラ・ランド」よりデートムービーしているので、万人受けする作品だ。
後々TVで放送されそうだが、劇場でかかっている間にぜひ体験して頂きたい。

劇中セリフより

「二人の間に秘密は無しだ」

信頼関係の形成は時間がかかるが崩壊は一瞬だ。
壊れないようにするか、壊れても治そうとするか、どちらも難しいが壊れたままにはしたくないと思った。

フリント