「98分が長く感じるキレの悪さ。98分もかけてこの薄っぺらい内容。」ジェーン 天秤座ルネッサンスさんの映画レビュー(感想・評価)
98分が長く感じるキレの悪さ。98分もかけてこの薄っぺらい内容。
撃たれた夫に代わり、銃を取る女ジェーン。女であり母であるジェーンの西部劇・・・と思いきや、あれ?メロドラマ?っていうくらい、ジェーンの活躍は見られない。昔の男ジョエル・エドガートンとのメロドラマの現を抜かし、エドガートンに守られてばかり。女性が主役の西部劇である意味あったのか?と疑問が残る。
子どもを殺された母親の復讐というひとつのテーマはあれども、それにしたって気の抜けるような結末が待っているだけ。誰もが銃を握る命がけの世界の中で、物語はお伽噺かと思うほどご都合的だった。
兎にも角にも、話の内容が薄っぺらくて仕方がない。そしてそれを何ともモタモタと語るので98分という短い映画がとても長く感じられる。回想シーンを幾たびも挟んで実に回りくどく描かれるのは、ポートマンとエドガートンのメロドラマ。西部劇を舞台にしたハーレクイン・ロマンスなのかと思うような筋書き。そこには、西部劇の屈強さも何もない。
実生活でも母になったポートマンにも何かしら心境の変化があって、この映画のプロデュースに至ったのかもしれないが、その出来はかなりトボけたようなものになったし、悪役を演じたユアン・マクレガーも一目ではそれがマクレガーだと気づかないような演じ込みを見せつつも、そもそも役柄に悪役としての旨みや狂気や妖気のようなものが決定的に欠けているためにまったく凄みを感じないし、夫役のノア・エメリッヒはただただ哀れな恋の踏み台に使われただけだし、唯一美味しい目に合ったのは自身も脚本に携わったジョエル・エドガートンだけ。彼にしても、同時期の脚本兼監督作品「ザ・ギフト」の時のような筆力が発揮されず、凡庸かそれ以下の退屈な映画だった。