ハードエイトのレビュー・感想・評価
全9件を表示
初期のPTAは抜群に良い
直近のピザ屋とか新興宗教物語とか仕立て屋のオヤジとか、ワケわからない思わせぶり映画の多いPTA選手ですが、初期はブギーナイツと並んで大変良い作品を作ってましたね。
全編ミステリアでサスペンスな展開を抜群の映像センスで、コーエン選手的な独特のシニカルな視点から撮っています。
ドライなエンディングも素晴らしい。
極小規模な"大事件"
ある老紳士の日常
それを取り巻く3人の日常に起こる変化
何気ない一コマを魅せるのは監督の力か
馬鹿ゆえに人は愛おしく、ハッピー過ぎないハッピーエンドを観せてくれるのはポールトーマスアンダーソン初の長編だが流石と言ったところ
シドニーはなぜ?
作家性の高いポール・トーマス・アンダーソン監督の長編デビュー作。などと考えてみれば、難解な作品の原点なのだろうと、妙に納得したりする。どことなく『パルプ・フィクション』(’94)の影響も受けているかのような印象だったが、激しく変化するわけでもなく、淡々と物語は進んでいく。
2年後にはジョンがシドニーを父親のように慕うくらいにギャンブルの道を歩んでいるが、彼の友人ジミー(サミュエル・L・ジャクソン)の登場によってバランスが狂ってくる。グウィネス・パルトロウ演ずるクレメンタインもまたその一人であり、結婚へと発展するが、式の直後であっても売春してしまうという揺れが生じてしまう。
サイコロ賭博における4のゾロ目を表す“ハードエイト”。この日本語タイトルによってギャンブルでの堕落の道を歩むのかと思えば、そうでもなく、原題の通りシドニーという初老紳士の謎を描いた作品。どうしてジョンに対して父親のように、ギャンブルの師匠のように接するのか。終盤にはそれが氷解するのですが、ラストの一撃ですかーッとするだけでした。このチンピラめ!といった感じで・・・
親子同然
親切心が謎のまま、物語の核となる何かも無く、終盤に動く展開にスッキリはするが驚きはせず。
ギャンブルを中心にした群像劇かと思いきや、渋い爺さんの過去を精算するような人情話。
P・T・アンダーソン監督の常連俳優が長編デビュー作から顔を揃え、他も知名度アリな役者陣で豪華なキャストの割に、作品的には地味さが目立つ。
所作に痺れる
フィリップベイカーホールがめちゃくちゃカッコ良かった。ラストのキャメルを吸いながら両手でコーヒーカップを持ってゆっくり持ち、袖を隠す所作にも痺れた。
なんて事ない話だけど、主人公は多くを語らず、周りのおしゃべりでドンドン話が進んで行く手法も嫌いではなかった。
話云々と言うより、各々のキャラを愉しむ映画と言う印象を受けた。
ハードエイトと言うのだから、もっとギャンブルシーンを見たかったけど、ハードエイトを外した時の主人公の顔が忘れられない。
大金持ちかと思ったら全財産6000ドル、と言う事は60万円?小物じゃねぇか!とは思った。
欲望と逃げ切れぬ過去と
ようやく観賞。
PTAの原型が見事に結晶化とは言わないが非常にバランス良くキャッチに描ききっている。
このあとにブギーナイト、マグノリア、と続いて公開されていったときのリアルタイム映画ファンはどれだけ興奮したのか、そのあとにも続く名作たちにどれだけ感心したのかと悔しく思った。
わかりやすくPTA作の魅力が理解できる作品だった。
擬似家族(近親相姦)、欲望、知性、反知性、勃起不全、そしてドラマ。
思えばPTAの作品はこれが全てだとも言える。
欲望のバリエーションの数だけ映画になる。
欲望深き我々の映画なのだ。
全9件を表示