ハードエイトのレビュー・感想・評価
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・・・ え 👀
ラスベガスのカジノで所持金全てを失い、ダイナーの外に座り込み途方に暮れるジョン( ジョン・C・ライリー )。素性の知れない初老の紳士シドニー( フィリップ・ベイカー・ホール )に声をかけられる。
カジノのウェイトレスとして働く美しい女性クレメンタインをグウィネス・パルトローが演じる。
クレメンタイン、そのうち失踪してそう。
ボール・ニューマン主演作「 ハスラー 」と趣は違っていたが、ラストシーンが巧い🩸
BS松竹東急を録画にて鑑賞 (吹替版)
初期のPTAは抜群に良い
直近のピザ屋とか新興宗教物語とか仕立て屋のオヤジとか、ワケわからない思わせぶり映画の多いPTA選手ですが、初期はブギーナイツと並んで大変良い作品を作ってましたね。
全編ミステリアでサスペンスな展開を抜群の映像センスで、コーエン選手的な独特のシニカルな視点から撮っています。
ドライなエンディングも素晴らしい。
極小規模な"大事件"
ある老紳士の日常
それを取り巻く3人の日常に起こる変化
何気ない一コマを魅せるのは監督の力か
馬鹿ゆえに人は愛おしく、ハッピー過ぎないハッピーエンドを観せてくれるのはポールトーマスアンダーソン初の長編だが流石と言ったところ
【”君に、我が子同様の愛を・・。”ある形での、元マフィアの初老のギャンブラーの男の贖罪を描く。今作が長編第1作とは思えないポール・トーマス・アンダーソン監督の、作品完成度の高さに驚いた作品。】
■母親の葬式代6000$を稼ぐためにカジノに来たジョン(ジョン・C・ライリー)。
が、大負けして途方に暮れていたジョンは、通りかかった初老のギャンブラー・シドニー(フィリップ・ベイカー・ホール)に拾われ、カジノでのギャンブルの勝ち方を教わる。
2年後、一人前のギャンブラーとなったジョンは、ウエイトレスのクレメンタイン(グウィネス・パルトロー)と結ばれるが、彼女の行為が原因で窮地に追い込まれるが、シドニーの機知で二人の未来は開ける。
だが、ジョンの友人で”全てを知っていた”ジミー(サミュエル・L・ジャクソン)は、シドニーに”ジョンに全て話すぞ・・”とゆするが・・。
◆感想<Caution! 内容に触れています。>
・序盤は、何故にシドニーがジョンに無償の献身をするのかが、謎であったが、途中でその理由が明らかになる。
・終始、冷静な初老のギャンブラーで元マフィアのシドニーを演じる、故、フィリップ・ベイカー・ホールの抑制した演技が、このフィルムノワール作品の品性を高めているのは、間違いない。
・シドニーは、ジョンとクレメンタインを逃がし、シドニーとジョンとの関係の秘密を知るジミーを撃ち殺す。
<ラスト、シドニーがジョンと初めて会った店で、一人珈琲を注文し、手首に近い部分のシャツに知が付いている事に気付き、そっと上着の袖で隠す。
今作が長編第1作とは思えない、ポール・トーマス・アンダーソン監督の気品あるフィルムノワールである。>
これも、<どんなことでも起こりうる>というお話
ということをみせつけてくれる、[マグノリア]のボールトーマスアンダーソン監督の長編デビュー作とのことで大いに期待、冒頭のシーン。アメリカンダイナーの前を横切る超長いトレーラーが舞台の幕のようにスクリーンの視界を開くと、ダイナーの前に座り込み途方に暮れるジョン、偶然通りがかりのビシッとした身なり眼球鋭くエレガントな老人シドニー。母親を亡くし葬儀代が必要でラスベガスに当てに行くが一文なしとなってしまったジョン、、、ラスベガスて、そんなふうに金持ちでも優雅でもない人も引き寄せるのだなと思い、そこには、なんとか良きにつけ悪しきにつけ成功しようという人らが吹き溜まり、シドニーの知恵と経験を惜しみなく伝授しまった導き、ジョンはなんとか暮らしていけるようになる。ジョンが好きになったクレメンタインもカジノのバーで売春を強要されるような境遇でその日暮らしをしており、貧困彼女は[ワンダ]のような、なんとも人任せな感じの、なんかとっ散らかってしまった人生に望みも何もない感じ。曲者のジミーがわりこんできて、シドニーとジョンの関係を微妙に変えていくのだが、最後までシドニーはジョンを見捨てない。
冒頭でシドニーがジョンに世の中どんなことでも起こりうるだろうということを話していて本当にそうなのだな、と、思うアンダーソン監督作品の常態であり、シドニーは天使なのか、渋い天使なのか紳士なのかと思うが彼には彼の過去があり理由があリ、、、クールに自分のスタイルで生きているが訳ありのシドニーもベガスやリノのようなところでぎりぎりなんとかやっていける底辺の1人なんだろうか。所持金6000ドル、カジノを銀行代わりに預けていてその財産をめぐる底辺な人らの死闘。アンダーソン監督作品のキャラクターは深刻な場面でもクスッと笑ってしまう、という場面が多いのだがハードエイトでも、逃亡先どーしようてときにナイアガラの滝?いや俺そこ行ったことあるから嫌だよとマジにもめるような、なんでも起こりうる人生の、ゆるく無意識に笑える弛緩のモーメント。ストーリーや展開もドキドキがあり良いのだが、とにかく冒頭から音楽がかっこいい、スキのないシドニーがやたらかっこいい、最初のダイナー、立ち去るとかまだ暖かい湯気立ち上るコーヒー、ジョンの話を聞きお腹空いてそうなジョンに朝食も奢らずコーヒーカップ二つ残して立ち去る2人。最後はふと昨夜の出来事を物語る白いワイシャツの袖を隠してコーヒーカップをその手で覆うシドニー。どのシーンもちょっとした仕草、所作にその人のその時を感じる、その繊細さをジョンもジミーもクレメンタインも素晴らしい俳優さんたちが演じていて見応えもある。
この映画を見るということは一つの人生の経験になる。生きていくなかで、ふと思い出し、もしかしたらちょっとした助けになることがありそうな。アンダーソン監督作品はどれもそう思わせる。
シドニーはなぜ?
作家性の高いポール・トーマス・アンダーソン監督の長編デビュー作。などと考えてみれば、難解な作品の原点なのだろうと、妙に納得したりする。どことなく『パルプ・フィクション』(’94)の影響も受けているかのような印象だったが、激しく変化するわけでもなく、淡々と物語は進んでいく。
2年後にはジョンがシドニーを父親のように慕うくらいにギャンブルの道を歩んでいるが、彼の友人ジミー(サミュエル・L・ジャクソン)の登場によってバランスが狂ってくる。グウィネス・パルトロウ演ずるクレメンタインもまたその一人であり、結婚へと発展するが、式の直後であっても売春してしまうという揺れが生じてしまう。
サイコロ賭博における4のゾロ目を表す“ハードエイト”。この日本語タイトルによってギャンブルでの堕落の道を歩むのかと思えば、そうでもなく、原題の通りシドニーという初老紳士の謎を描いた作品。どうしてジョンに対して父親のように、ギャンブルの師匠のように接するのか。終盤にはそれが氷解するのですが、ラストの一撃ですかーッとするだけでした。このチンピラめ!といった感じで・・・
渋い男
なぜこんな見ず知らずの男や女を助けるのか、ラストに向かうに当たり、とんでもないことが待ち受けていると期待したが、結局男の父親を殺したことの罪滅ぼしという、何か呆気ない。フィリップ・ベイカー・ホールは渋い。
親子同然
親切心が謎のまま、物語の核となる何かも無く、終盤に動く展開にスッキリはするが驚きはせず。
ギャンブルを中心にした群像劇かと思いきや、渋い爺さんの過去を精算するような人情話。
P・T・アンダーソン監督の常連俳優が長編デビュー作から顔を揃え、他も知名度アリな役者陣で豪華なキャストの割に、作品的には地味さが目立つ。
所作に痺れる
フィリップベイカーホールがめちゃくちゃカッコ良かった。ラストのキャメルを吸いながら両手でコーヒーカップを持ってゆっくり持ち、袖を隠す所作にも痺れた。
なんて事ない話だけど、主人公は多くを語らず、周りのおしゃべりでドンドン話が進んで行く手法も嫌いではなかった。
話云々と言うより、各々のキャラを愉しむ映画と言う印象を受けた。
ハードエイトと言うのだから、もっとギャンブルシーンを見たかったけど、ハードエイトを外した時の主人公の顔が忘れられない。
大金持ちかと思ったら全財産6000ドル、と言う事は60万円?小物じゃねぇか!とは思った。
欲望と逃げ切れぬ過去と
ようやく観賞。
PTAの原型が見事に結晶化とは言わないが非常にバランス良くキャッチに描ききっている。
このあとにブギーナイト、マグノリア、と続いて公開されていったときのリアルタイム映画ファンはどれだけ興奮したのか、そのあとにも続く名作たちにどれだけ感心したのかと悔しく思った。
わかりやすくPTA作の魅力が理解できる作品だった。
擬似家族(近親相姦)、欲望、知性、反知性、勃起不全、そしてドラマ。
思えばPTAの作品はこれが全てだとも言える。
欲望のバリエーションの数だけ映画になる。
欲望深き我々の映画なのだ。
とても面白い
渋い短編小説をじっくりと長編映画にしたような映画だった。最後、サミュエル・L・ジャクソンがブチ殺されてスカッとした。あんなホテル暮らしのおじいさんの全財産が6千万円というのは少なすぎるだろと思った。
アホな若者役のジョン・C・ライリーが、放っておけないのも理解できるほどのキュートだった。
強いて不満を言うなら、ギャンブルの場面でもうちょっとドキドキしたかった。
こんな堂々たる映画がデビュー作とは全く恐れ入る。
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