「「真心」」海難1890 勝手な評論家さんの映画レビュー(感想・評価)
「真心」
1890年に起きたエルトゥールル遭難事故と、1985年のイラン・イラク戦争時のトルコによる邦人救援機派遣を描いた物語。
テヘラン邦人救援機に関しては、陸続きで脱出しようと思えば出来なくも無いという状況でありますが、戦地を通り抜けることになり容易ではありません。それでも、自国民を差し置いて、日本人を救出しようとしたトルコ共和国の温情には、言葉がありませんね。それに比べて、確かに戦争中ではありますが、同胞の救出を拒んだ当時の日本航空のヘタレぶりには怒りを覚えますね。今では政府専用機があるので、何とか出来るかもしれませんが・・・。
それにしても、事実をそのまま描いたというわけではないようですね。国際信号旗で国籍を確認したというのは、伝えられている事実ですが、エルトゥールル号当時の大島村の村長は、沖周(おき しゅう)と言う人物であり、“佐藤”などという極めて現代的な苗字を持つ人物ではありません。また、大島村に遊郭なんてあったのか?とか色々とツッコミたくなる所はたくさんあります。ちょっと劇映画風にしすぎた気がします。
それと、テヘラン救出編も同じ。上映時間は131分ですが、体感的にその7割はエルトゥールル号編に充てられ、テヘラン救出編は3割位の印象。そんな感じで時間が短いので、あまり物語は膨らみません。まぁ、もっとも実際に急を要する自体であって、それそのものが物語だったので、それ以外の物語なんて無いのかもしれませんが。逆に、実際の取組みが簡略化されすぎていたような気がします。テヘランでの活動のほか、
エンドロールの最後に、エルドアン大統領のメッセージが有りました。「なんか紋章みたいなものがスクリーンに出たな」と思ったら、大統領でした。あれは、トルコ共和国大統領の紋章なんですかね?
それにしても、テヘラン救出編は、物語は薄いんだけど、何故だか泣けてきました。トルコの様な親日国は大事にしないとダメだよね。