「池松。奇跡の風穴。」紙の月 エイブルさんの映画レビュー(感想・評価)
池松。奇跡の風穴。
欠陥だらけの値打ちしかない、と言う、
そういう書き方のレビュアーの方々、ちらほら見受けられるが、
欠陥こそ生み出された段落、
作者が知った上で作っているに違いないだろう、あんな圧倒的計算尽くめの台詞や演出が出るのだ、それをお分かりでないのが、
余計な世話と知りつつ、不憫、と言わせていただく。
しかし、そんな職人芸、手練の連続、隙の無さに、
まあ辟易しなくもない自分もいるにはいる。
台詞と演出と編集の選択の連続の、正解オンパレード……
………気に食わない。絶望的に。
が、しかし、の、しかし、
池松壮亮。
彼の存在が、存在、もはやそれだけが、この作品に、クソ真面目な鉄壁に、野性のエロチシズム、生々しい魂の悶え打つ震え、
つまり生命の神秘を、奇跡のように風穴あけていて、
心底から目が離せなかった。
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