「紙一重の向こう側」紙の月 ブライトさんの映画レビュー(感想・評価)
紙一重の向こう側
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万人受けを狙わず、紙一重の向こう側を知ってる人にしか伝わらない爽快感に好感が持てた。これが刑に服する主人公で終わっていたならよくある“ありがちな”作品で終わっていただろう。最近流行りの不倫物を期待して観に行くのも間違っている。主人公は誰にも恋などしていない。彼は紙一重の向こう側を充足させる為のツールに過ぎない。全ては自分へのご褒美と称してデザートを食べたりエステに行ったりする“ありがちな”女性の不可解な自己満足の延長なのである。これと言って夫に大きな過失もない。ただノーブランドのペア時計をプレゼントした後に、カルティエの時計をプレゼントしてくるようないい人だけど空気の読めない、退屈な夫というのもリアルでいい。彼女の異変に気付いていながら好きにさせるのが愛情だと勘違いしている夫。だからこそ主人公のストレス発散は長期化する。「後味が悪い」「すっきりしない」「描写不足」との評もあるかもしれないが、これは紙一重の向こう側にいるもしくはいた、または憧れを抱く不健全女性という少数派の為の爽快映画という見方も出来るのだ。
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