「犯罪に手を染めてしまうまでの細かさといったら!」紙の月 mayuraさんの映画レビュー(感想・評価)
犯罪に手を染めてしまうまでの細かさといったら!
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一人の銀行員がどうして横領犯となってしまったのか?
その過程を細かく細かく描いていく映画だと感じました。
道を踏み外して、どんどん常軌を逸していって取り返しのつかないところまで・・・。
すべての犯罪が辿るところなのでしょうが、それが美しい映像で紡がれていて、湿度がないのがこの映画の特徴でしょうか。
little moaさんの劇中歌もなんとも現実離れした、虚構のような犯罪映画の中でさらに浮世離れした印象を深めてくれます。
どうしようもない状況になって、身も蓋もないような振る舞いはコメディですらあります。
しかしそれとてもどことなくリアルでありながら嘘のよう。
なんということのないシーンをスローモーションでここまで美しく見せられてしまって、ちょっと魔法にかけられたような気持になりました。
個人的には宮沢りえさんが、普通にきれいなおばさんなのが悪意というかなんというか。
繰り返されるラブシーンも1mmもエロくないのですね。
ラブホテルで、相当にえぐいシーンのはずなんですが、少なくとも私はこれっぽっちも恥ずかしいとか逆に興奮することもないように思われました。
男女差もあるのやもしれませんが、意図してのことなのかせざることなのか。
結局主人公は本来行かなくてはいけないところには行かない、という選択をするのですが・・・。
後味が悪い、というよりキリスト教的なものに対する反発、神に対する反抗を思わせるエンディングだと思いました。
ヴェルヴェットアンダーグラウンドの曲は不似合やねえ。
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