「施しの快楽と富める者としての後ろめたさからの解放カタルシス」紙の月 popo2さんの映画レビュー(感想・評価)
施しの快楽と富める者としての後ろめたさからの解放カタルシス
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全ての支配をひとつずつ振り切って自由になっていく主人公を追って自分も解放される素晴らしい映画体験でした。
金を稼ぎだすことで旦那からまず自由になった主人公は、他人の欲望ではなく自分の欲望を開放し、富めるものから貧なるものに金を施す善行を見咎められたのち、横領と謗られ逃げ出すことで、規範の世界と真面目な勤労者たちの社会から自由になっていく。銀行のガラスぶちやぶって、まっとうな人たちを取り残して走り去るシーンは一番爽快で「一緒に行きますか」に私の中の良心めいたものや規範意識は殺されてしまい、拍手さえできるほどの羨ましさしか残らなかったです。それでも最後まで彼女が囚われていた、施した対価としての感謝の気持ちによって他人とゆるぎない関係性を得たいという欲望と、富める家に生まれた自分自身の後ろめたさからどうやって自由になるのかなと思っていたら、異国の地で、かつて幼い頃の自分が親の金で施したような貧民に、果物を恵んでもらうことで施しの快楽、貧富の後ろめたさの輪廻からも自由になり、最後のカタルシスも見事なフリーダムハッピーエンドでした。
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