「考えさせられた」紙の月 ユウさんの映画レビュー(感想・評価)
考えさせられた
アマプラで配信されている映画をボーッと眺めてたら宮沢りえさんがとても綺麗だったのでなんとなく視聴。
目を離せず一気に見てしまった。
今にも折れそうな弱々しさと儚さを感じさせる主人公。販売店員に捕まり4万の化粧品を流されて購入したり、客の行為がセクハラまがいでも拒否できないような性格。私自身は1番こうなりたくないと思っている性格だ。(私も勧められて欲しくもない商品を買った経験が何度もある…)
宮沢りえさんの演技は日常に溶け込むという点では上手いとは言えないのかもしれないが、独特な話し方や節目がちな目が主人公の存在感を引き立たせていた。すごく色気があって私は女なのにドキドキする。
あらすじを見て旦那さんはモラハラDV夫かなと思っていたら違った。それがまたすごいと思った。優しいようにも見えるけど、主人公と対等ではない。主人公も働いてるのに主人公が全て家事をやる。旦那が海外に転勤になったら当たり前のように主人公も仕事を辞めることになる。主人公が稼いだ金で買った時計より遥かにいい時計をプレゼントする。
海外に付いていくことを断るために、「私だけにしかできない仕事がある」と主人公か言ったのは、言い訳にも思えるが、自分の存在を必死で主張しているようにも思えた。
不倫も横領も、ほとんど片鱗を見せずに自分からする主人公。
普段は弱々しいのに突然大胆なことをするから観ていて少し戸惑ったが、それは主人公の性格を勝手に決め付けていたからだ。不倫や横領を行う破綻した性格は主人公がずっと秘めていたものであり、彼女自身にとっては大きく変化したわけではないのかもしれない。
あと、大学生がもっとイケメンの方が良かったんじゃって思ったりもしたが、敢えてイケメンじゃないんだろうなって思う。若いイケメンがいいんじゃなくて自分と対等で、自分を認めてくれる存在が必要だったのかもしれない。
ラストで窓ガラスを割るシーンはすごく良かった。このまま捕まって終わりだと思ったから。支店長みたいな男が「追いかけろ!」とか言って走り出すシーンは思わず笑ってしまった。最後に爽快感を感じるとは思わなかった。
若い男に入れ込んで捨てられ破滅した哀れな女、と言う印象は全く感じなかった。観る前はそう言う映画だと思ってたけど。
もちろん、犯罪行為を肯定する気はないが…。