「熱量が感じられない」紙の月 Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
熱量が感じられない
総合:65点 ( ストーリー:65点|キャスト:70点|演出:70点|ビジュアル:70点|音楽:70点 )
全体の質感は悪くない。でも横領をする女の葛藤というか熱量が伝わってこない。真面目に生活してきた女が厳しい銀行の目を盗んで他人の金を奪っていくという犯罪行為に手を染める時、そこにあるべき戸惑いと緊張感と罪悪感と高揚感が感じられない。本来は感情が溢れそうなものだが、人形のように熱量が無いままに静かに冷めた雰囲気で物語が進んで行く。
宮沢りえの独特の雰囲気はあるのだが、浮気相手に対しても夫に対しても同僚に対しても、そして犯罪行為に対しても静かすぎた。それでいてやることは大胆。そこに違和感があって、質感の高さは感じながらも引っかかるものがあった。なので長所短所が相殺しあってそこそこの評価。この状況を普通に考えれば、主人公は普段の生活に感情と罪悪感の薄さが突然溢れ出る異常者。
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