「梨華役のりえちゃんいい」紙の月 akkie246さんの映画レビュー(感想・評価)
梨華役のりえちゃんいい
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抑制された画面。抑制されたストーリー。抑制された感情。1994-95という時代は、バブルがはじけて昭和が終わり、平成が始まったばかり。一方で世紀末というキーワードもあり、きたる21世紀とのはざまで、ちょうどパーソナルコンピュータが出始めたばかりのころだ。作中でも大学生のコウタはマッキントッシュを買ってもらっている。
お金と幸せについてとても考えさせられる映画だ。主人公の梅沢梨華は、銀行員として、他人のお金を預かり、運用しなければならない役目を背負っている。そのためには小林聡美さんの演じるお局さんのような銀行員は必要なのだ。田辺誠一演ずる梨華の夫は、自分の出世にしか興味がない。大学をやめなくてはならないという状況に追い込まれている年下のコウタに惹かれてゆく梨華。一旦火がついてからは、バブリーな展開になる。それでも演出は手堅い。抑制された演技によって犯罪は続けられてゆく。大島優子の役柄が、悪魔的で良かった。ラスト、梨華は希望を見たのだろうか。
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