「ヒロインが生き生きとしているピカレスク・ロマン」紙の月 瑞さんの映画レビュー(感想・評価)
ヒロインが生き生きとしているピカレスク・ロマン
映画を観る前は、男に貢ぐ女銀行員の話かと思っていたが、結果的にはそうとも言えるが、実はそうではないと思う。女が殻から出て、輝いて行く話だった。貢ぐこと自体が目的ではなく、旦那に気兼ねなく、思いっきり制限なく使いたかったのだと思う。原作とは描き方も、登場人物も、エンディングも違うそうだが、そこが新しいし、魅力を感じた。男に尽くすのではなく、人間として自分らしく生きるということ。やり方は間違っていたかもしれないが、自分に足かせをはめずに、自由に生きようとしたのだと思う。現実にはそれは絶対無理なので、ヒロインを羨ましがっているもう一人の自分がいた。宮沢りえの演技が評判だったが、最初はおどおどしていた彼女が、最後は吹っ切れたような美しさをみせていて、きれいだった。
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