劇場公開日 2015年11月21日

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「人生は設計より経験」リトルプリンス 星の王子さまと私 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5人生は設計より経験

2016年4月16日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

知的

幸せ

アントワーヌ・ド・サン・テグジュペリの名作「星の王子さま」の“その後”を描いたファンタジー・アニメ。
「星の王子さま」についてタイトル名や作者名は知ってるけど、それ以外は詳しく知らないのが本音。
Wikipediaでざっくばらんに予習した上で鑑賞。

砂漠に墜落したパイロットの前に、自分の体ほどの星に住む王子が現れ…ってのが元々の話。
本筋は、母親から名門校に入る為に勉強漬けの日々を強いられる少女。ある日、隣家に住む風変わりな老パイロットと知り合い…。
“王子の物語”は度々挿入され、少女目線で話が語られ、見る側も少女と一緒になって読み語っているような気にさせられる。

少女の“現実”の物語はCG。
王子の物語はまるで挿絵が動いているかのよう。
ファンタスティックなストーリー、映像。
可愛らしいキャラクター。
一見子供向けと思うが、これがなかなか大人向け。
考えさせられる点も多々あり、子供にはちょっと難しいかも。

星の王子が出会う王様、自惚れ男、それからバラにヘビにキツネも現実社会の縮図だとか。
これはその後の本作でも受け継がれている。
徹底監理された社会、競走の世の中。
母親の言われるがままに毎日の生活も監理されている少女は、老パイロットと知り合って、多くの見解を深めていく。
それを咎めた母は、毎日毎日勉強して名門校に入れば、友達と遊ぶ事も出来る。来年の夏の毎週木曜の午後1時から1時半の間に。
は? 何言ってんの、この母親?
ある程度の人生設計は必要かもしれない。無計画よりは。
でも、度が過ぎると、息が詰まる。子供の個性を殺す。周りに居るつまらない大人になってしまう…。

人生は設計より、経験。
様々な経験をして、子供は大人になっていく。
かつて子供だった大人たちもそうだった筈。
今の子供たちへ、かつて子供だった大人たちへ。

近大