「「ザ・タウン」の別バージョンのようにも感じられる一作」夜に生きる ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)
「ザ・タウン」の別バージョンのようにも感じられる一作
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『アルゴ』で映画界の高みに立った後、ベン・アフレックがもう一度、ホームグラウンドであるボストンへと舞い戻り、そこを起点とした抗争劇を描き尽くした一作。本作にはアフレックの弱みと強みが同居している。強みはその土地の濃厚な空気を描き出すことができる点。俳優同士の互いにジリジリと視線を絡ませるような緊張感も随所に介在する。その一方で、これまで彼の監督作では封印してきた、甘い演技が復活しているのが難点か。禁酒法時代に特有の、煙草の煙がゆらりと立ち昇るゆったりした物語運びと、彼の曖昧な笑みは、そのテンポに不慣れな観客にとってダルさを感じさせるかもしれない。だが、本作が救われるのはクリス・クーパーとエル・ファニング演じる父娘が現れるあたりからだ。彼らの堕ち方はリアルで、不気味で、この映画の凄みとなって突き刺さる。そしてラストの余韻は、筆者の目にはどこか『ザ・タウン』の別バージョンのようにも感じられた。
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