劇場公開日 2015年4月18日

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「奥行きのある作品」インヒアレント・ヴァイス Raspberryさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0奥行きのある作品

2015年6月3日
iPhoneアプリから投稿

なんせ情報量の多いことで有名なピンチョン。

マンソン・ファミリーによるポランスキー邸での無差別殺人事件。その裁判が世間を賑わせ、ヒッピーカルチャーが失速しはじめていた1970年代初頭のロサンゼルス。

マリファナ、土地開発業者、警察、サーフィン、ロックンロール、ハリウッド。そんなディテールを、原作を未読な私に、PTAは色と音楽でたっぷり観せてくれた。

どこまで現実でどこから妄想なのか、煙にまかれたようでわからない。
考えてみれば、今の情報社会そのまま。
国家の陰謀や謎は、現実なのか妄想なのか、疑心暗鬼になるだけ。

水と熱湯を混ぜたらぬるま湯になるけれど、ぬるま湯を水と熱湯には戻せない。

この世界の秩序も、一度崩壊したら元には戻せない。
では無秩序が突然現れたのかというと、そうではなくて、原題の「内在する欠陥」が言う通り、秩序が保たれている頃から内在されているのだ。

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Raspberry