「探偵もの。」インヒアレント・ヴァイス mg599さんの映画レビュー(感想・評価)
探偵もの。
ポール・トーマス・アンダーソンは好きな映画作家のひとりだ。
「ブギーナイツ」や「マグノリア」には心底うなったし、「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」の骨太なドラマにも感心した。
一方、「パンチドランク・ラブ」や「ザ・マスター」は巷間言われるほど響かなかった。
そして、本作。
探偵が依頼を受けていろいろ調べて、時には冒険めいたこともして、真相にたどり着く。
もちろん、こういうステレオタイプな展開を期待していたわけではないが、あまりにも外しすぎではないか。
探偵ドック(ホアキン・フェニックス)と警察官ビックフット(ジョシュ・ブローリン)のコンビは映画史に残る名コンビだったとは思うが、彼らがどれだけストーリーに貢献していたというのだろうか。
トマス・ピンチョンという作家についてはまったく知らない。だから、本作が原作に対してどういうスタンスになっているのかまるでわからない。
もし、原作のテイストがうまく映像に移し変えられていれば、高い評価が得られるだろう。
1970年のアメリカを肌で知っていないと、実のところ楽しめないのではないか。そんな気がする。
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