「<後半ネタバレ有!>捕鯨船に起きた悲劇の実話を実写化!海洋サバイバルのリアルがここにある!」白鯨との闘い YuuuuuTAさんの映画レビュー(感想・評価)
<後半ネタバレ有!>捕鯨船に起きた悲劇の実話を実写化!海洋サバイバルのリアルがここにある!
【実話を元にした映画】
この映画は、1820年に捕鯨船エセックス号で実際に起きた悲劇を、約180年後、犠牲者と同じナンタケット島に住む歴史家フィルブリック・ナサニエルが緻密な調査により一冊にまとめた「復讐する海 捕鯨船エセックス号の悲劇」を元に作られました。
ストーリーは乗組員の最後の生き残りトーマスから、世界に名高い小説家ハーマン・メルヴィルが取材していくという形で進みます。なぜかトーマスは、あまり話したがらないんです。奇跡の生還者なのに!その理由は後ほどわかります。
トーマスが重々しく語る内容は、あまりに現実離れした出来事で、内容を受け入れるのに少し時間を要すかもしれません。極限に迫られた人間の気力と行動力に脱帽しました。
【あらすじ】
1819年、鯨油獲得のため捕鯨船エセックス号が、アメリカのナンタケットを出港します。経験豊富なベテラン一等航海士チェイスと、おぼっちゃまでコネにより船長に抜擢されたポラードの2人を中心に物語が進みます。ぜひ2人の人間関係に注目しながら見てください。
南米大陸のはるか西の沖合に鯨の群れがいるのを知り船を向けます。通常大陸から離れ沖合に漁へ出るのは危険なためタブー。それでも結果が欲しい一行は舵を切ります。そこで一行に待ち受けている運命は・・・と言う展開で話が進む海洋冒険ロマンにして海洋サバイバル映画となっています。
帆船ってかっこいいですね。帆船って、私はONE PIECEでくらいしか見たことないので、困難が起きてもお気楽に解決できるくらい軽く考えていましたが、実際は違いますね笑。帆船の魅力にもぜひ注目してください。
---ここからネタバレ含みます!---
【遭難の過酷さ】
南米大陸からはるか西3800kmの沖合で鯨に襲われ船は大破します。ここから壮絶な遭難の様子が描かれています。ごく僅かしかない食糧はすぐに底をつきます。骨と皮のように干からびていく船員たち。生きるために選んだ手段がカニバリズムでした。
「船乗りたちは無駄なものを海に捨てない」というチェイスの言葉により息絶えた仲間を食べ、それでも足りず、クジを引いて犠牲になる仲間を決めました。正直、見ていて気持ち悪くなりました。描写にではなく、そうした状況に。生きるためとはいえ、選んだ道のエグさに衝撃を受けました。
【鯨油採取の重労働さ】
鯨を捕獲するのは命懸けです。鯨より小さな船で鯨を追いかけ、銛を突き刺さし、体力がなくなるまで追いかけ回さないといけないからです。鯨の身体から鯨油を採取する際は悪臭との戦い。かなりキツイらしいです。こんなに苦労しないと取れないことを知ると、「蛍光灯じゃなくて、LEDじゃないと嫌だ」なんてわがままを言っている現代がどれだけ幸せか実感しました。
【鯨はなぜトドメを刺さなかったのか】
船を大破させた鯨は、執拗に船員たちを追いかけ回しました。殺された鯨たちの報復をするかのように。しかし、遭難し弱り果てた船員たちを見ると攻撃をやめ、2度と姿を現しませんでした。
なぜ憎き人間にとどめを刺さなかったのか。私はお互いに拳をまじ合うことで、一種の友情のようなものが生まれたんだと思いました。両者ボロボロになるまで戦い、ライバルの健闘を讃えあうかのように。決して友だちになったわけではないので、また海で出会った時は戦うのでしょう。
鯨と船員の目が合い、黙って別れていく姿にそんな意思疎通があったのではないかと感じました。
【まとめ】
総じて面白い映画でした。話に引き込まれます。鯨の解体やカニバリズムなど、グロい描写もありますが、それがまた物語のリアルさを現してると思います。じっくりと映画を楽しみたい時に見るといいのではないでしょうか。