「生きるための闘い。」白鯨との闘い ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
生きるための闘い。
事実は小説よりも…とはよく言ったもので、確かにそのとおり。
名著「白鯨」の裏にある真実はこうだった…なるほど。とはいえ、
そのまんま小説にはしなかったメルヴィルの選択も素晴らしい。
今作を観て、あーそうか。いやそういうことだと思ってはいた
けれど、と生き恥を晒す(終戦前後よく使われた言葉)の意味を
ズシリと噛みしめる。生きてこそ語り継がれたこの壮絶な話は、
白鯨との大勝負に留まらない。むしろその後が壮絶な旅になる。
まだ無名の小説家が生き残りの船員へインタビューを敢行する
過程からドキドキが高まり、帆船が大海原を快走し、ロープが
しなり、男達が鯨めがけて突き進む迫力は息を呑むほどである。
対する二人の男の物語。という出だしから、あーまたライバル
関係なのね^^;と思うほど人間ドラマも面白いが、後半でガラリ
様相は変わる。真の怖さはここからだ。と云わんばかりに辛い
決断が相次ぐ中、ただ生きるとはこういうことなのかを学んだ
青年が長きに渡って抱えてきた苦悩からやっと解き放たれた時、
もういいんだよ~。大丈夫だから。と、奥さんでなくとも彼の
肩を抱いてやりたくなった。その苦しみをエイハブ船長に全て
集結させたメルヴィル役のウィショーがまた役得必勝で上手い。
(俺たちは家族だ。と言い続けた男が約束を守ったことには感涙)
コメントする