劇場公開日 2016年1月16日

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「大海原との闘い」白鯨との闘い 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0大海原との闘い

2016年1月21日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

興奮

ロン・ハワード監督の海洋スペクタクル。
てっきりモビー・ディック対エイハブ船長の「白鯨」の新解釈映画化だと思っていたので、原作タイトルや主人公名が違ってあらびっくり。
「白鯨」の基となった19世紀に起きた捕鯨船エセックス号沈没の実話の映画化。
「白鯨」もリンクネタとして挿入、ちなみに「白鯨」はジョン・ヒューストンが手掛けた1956年の映画は昔見た記憶があるが、知ってるようで詳しくは知らないのが本音。

あちこちで言われている通り、確かに少々邦題ミスかも。
この邦題からだと白鯨との壮絶な闘いを描いたパニック・アクションを想像する。
勿論その醍醐味もある。
捕鯨シーンは臨場感満点。波しぶきが画面からかかってきそう。
遂に姿を現した白い悪魔。
他の鯨と明らかに違う体格差。
身体中には人間との壮絶な闘いとの証とも言うべき傷だらけで、その異形は不気味でもある。
出現すると一気に緊張感が高まる。
襲撃シーンは悪夢。
鯨ってこんなに恐ろしかったっけ?
迫力も存在感もゴ○ラ級!
そんな怪物を前に、人間は成す術もナシ。
“白鯨との闘い”より“白鯨の襲撃”の方がしっくり来る。

…実を言うと、“白鯨の襲撃”は中盤のみくらい。
骨太なドラマとサバイバルがメイン。

出港して一向を襲う嵐。
さながらこれからの苦難の洗礼。
ひと度海に出れば、帰港するのは年単位。
その間狭い船の中で、すし詰め状態のワケありの男たち。
何も起こらない訳が無い!
確執、傲慢…黒い人間模様。
怪物の襲撃で船は大破。
生き残った乗組員たちはボートに乗って…。
飢え、乾き、疲労、恐怖、絶望、死…本当の苦難が始まった。

全ては鯨油を手に入れる為。
自然を殺し、海を甘く見、欲深い者たちへの強烈なしっぺ返し。
自然に歯向かった者に自然は牙を剥く。

ソーにスケアクロウに3代目新スパイダーマン、船外にはQ…。
個性的な乗組員。
ロン・ハワードの演出も手堅く。

全米では批評・興行共に不発。特に興行的には大沈没。
日本でもランキング初登場7位、観て来た劇場はガラガラ。
序盤はちょっとタルく、全体的に重苦しいが、スケール充分で、後味は割と良く余韻が残り、なかなか見応えあった。

ついつい気になったのが日本の捕鯨問題。
史実を基にしたエンタメ作なので直接的な関係性は無いと思うが…
仕留められた鯨の無惨な姿、鯨を捕まえようとして返り討ちに遭う皮肉に、少なからず反捕鯨のメッセージが込められているような気もした。

近大
seiyoさんのコメント
2024年4月20日

こんばんは~。
興行的には不発だったのですね。

seiyo