「なんて素敵な映画なんだろう!!」ジャージー・ボーイズ ユキト@アマミヤさんの映画レビュー(感想・評価)
なんて素敵な映画なんだろう!!
ああ、なんて素敵な映画なんだろう。
これを観たら「アナと雪の女王」さえ、かすんで見えてしまう。
ああ、なんて素敵な音楽映画なんだろう。
監督は、あの人です。
もう、映画界の巨匠と言っていいでしょうね、ここまで来ると。
クリント・イーストウッド監督であります。
クリント監督は「ハズレ」が、まあ、ほぼ、ないんです。
クリント監督の作った作品なら、どんな作品でもそれなりに面白い。
感動したり、泣けてきたり、複雑な感情を、いともたやすく映画の中に絶妙なブレンドで溶け込ませてくれる。
それは、とびっきりうまい、香り高いコーヒーを飲む時のよろこびや、極上のお酒をチビリとやって「うまいなぁ~」と舌を鳴らして感嘆する。そんな極上の時間を演出してくれるのです。
僕は以前、映画館で本作のチラシが置かれているのを観ました。
棚の下の方にひっそりと置かれていました。
チラシの片隅に四人の若者達。
暗がりの中、路上で、スポットライトを浴びてコーラスしている。
全然目立たない、これで宣伝用のチラシなの? と疑うような地味なチラシでした。
手に取ってみると、小さな文字で「監督 クリント・イーストウッド」とありました。
「うそでしょ?!」
もっと派手に宣伝しなさいよ! と思いました。同時に、これは絶対に観に行こうと思いました。
結果。観て損はありませんでした。
もう一度1800円払ってでも「もう一回観たい!!」と思わせてくれました。
僕みたいなヘタクソな物書きの感想文読んでる暇があったら、さっさと映画館へ鑑賞しに行ってくださいませ。
この映画を観るには、出来れば、とびっきりお洒落してゆくといいですよ。恋人やご夫婦で観るもオススメです。
観終わったら、美味しいワインでも傾けながら、この映画をお二人で語り合う、なんてのもいい趣味ですね。
本作は1950年代から60年代にかけて、まさにアメリカン・ポップスを席巻した「ザ・フォー・シーズンズ」というコーラスグループの結成のいきさつから、その解散、そして現在までを描いたものです。
2時間あまりの中に、それだけの内容を詰め込むのは無理があるのでは? とお思いでしょうが、そこはアナタ、巨匠「クリント監督」なんですよ。
脚本は抜群の出来。ストーリーは実によどみなく進みます。しかし、重要なポイントはじっくり描かれてます。
メリハリが効いてるんですね。だから、観ている観客は全然疲れない。
「ザ・フォー・シーズンズ」のメンバーはニュージャージー州の、ありふれた田舎町の不良少年でした。
どっかから、くすねてきたグッズを売りさばいては、それで遊ぶ金を稼いだりしている連中でした。
ただ、彼らの幸運は、たまたまメンバーだったフランキー・バリ(ジョン・ロイド・ヤング)の声が、実に「イカしていた」ことです。
彼の甘ぁ~い裏声(ファルセットといいますね)は、クラブの女の子達を虜にしちゃいます。誰もがうっとりする歌声。その声を聞いて、これも一人の才能あふれるピアノ弾きの若者が「ぜひ、こいつと組んで、バンドをやりたい」と思いたちます。こうして結成されたのが「ザ・フォー・シーズンズ」
やがて彼らはメジャーデビューを果たします。
レコードは売れる、売れる!! テレビ、ラジオには引っ張りだご。コンサートのチケットは即「SOLD OUT!!」
お金が入ってきます。
高級車も買った。群がりよってくる女の子は選び放題。
まさに、アメリカンドリーム、これこそ、サクセスストーリーの王道!!
と、思いきや、彼らにある災難が降り掛かります。それは彼らのグループ活動はおろか、人生を狂わせるほどの、深刻な事態でした。グループはあわや解散と言うところまで追い込まれるのですが……
本作を観ていて、ぼくはまるでコンサート会場にいるような錯覚を覚えました。本作で使われる音楽はまさに極上。
クリント監督は、自身でも作曲するほどの音楽好きで知られていますね。
音楽への造詣が深い、それも映画音楽について熟知している。
どこでどんな音楽を使ったら、この映画はもっと「美味しくなる」のか?
それをクリント監督は、もうねぇ、知り抜いてるのね、この人。
だからこれだけ素晴らしい音楽映画を作れたんですね。
アメリカンポップスを題材にした映画と言えば
ジェイミー・フォックス主演の「Ray」やマイケル・ジャクソンのドキュメンタリー映画「THIS IS IT」などがすぐに想い浮かびます。
これらがお好きな方には、本作はきっと受け入れられるでしょう。
どうぞ映画館で、素敵な4ビートの”ヨコノリ”で、スウィングしちゃってください。楽しい作品ですよ、