「素晴らしかった」ジャージー・ボーイズ 古泉智浩さんの映画レビュー(感想・評価)
素晴らしかった
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音楽に無限の可能性が秘められていた時代に音楽を生み出そうとしている様子が実に感動的に描かれていた。
それが決して純粋に音楽を追及しているだけでなく、本当にチンピラが本物のミュージシャンになっていく者と、チンピラのままでいる者、両方の力が引き合って活動体として活性していく。きれいごとだけでバンド活動が成立しない感じが生々しくてよかった。トミーによる盗品の衣装がなかったらステージに立てなかったかもしれないし、ともすれば楽器も盗品だったかもしれないし、チンピラとしての野心がなかったらステージに立っていなかったかもしれない。
トミーは恩着せがましいところがうざいのだが、実際、フランクが自動車内での殺人詐欺にあうところを助けてくれたし、若い時の1万円は30代の30万円に相当する感覚もある。
バンドの各々がモノローグで語るため、人物を把握するまでちょっと混乱した。
フランクが振り返る、街灯の下で彼らのコーラスが生まれた瞬間こそが音楽活動のハイライトであったというのは胸にグッとくる。その時に、彼らの心は純粋に音楽で一つになっていたのではないだろうか。
不平不満があったり、ぶつかったりしながらも、つながって活動していくことこそが尊いんだと思う。
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