「アートですね。」ジャージー・ボーイズ xtc4241さんの映画レビュー(感想・評価)
アートですね。
クリント・イーストウッドは僕が最もリスペクトする監督であり、俳優であり、アーティストです。その新作が2年間もなかった。それに84歳という高齢。だから、悪い方に考えないでもなかったのです。
でも、こんな作品で復活するなんて!
「ジャージー・ボーイズ」僕はロックファンだから、それ以前のポップスというか、芸能って雰囲気のものはあまり関心がなかったのですが、これもアートなんですね。
うたができるとき、なにかにインスパイヤーされて、そのメロディが生まれるときの瞬間が軽やかに描かれているのがうれしかった。
ジャズやブルースなんてものに造詣が深く、自身の映画にも渋いメロディをつくっているイーストウッドだからともいえるだろう。
それに4人のメンバーそれぞれが実に生き生きと描かれているんだな、これが。
何十年も一緒にやってると、それぞれイヤな部分も目についてしまう。
華やかな舞台の裏には、いろんなものを犠牲にしている。
メンバー同士の、家族間の、その周りの人たちとの愛憎。
あって当たり前ともいえることを描いているんだけど、最後にいったメインボーカルが行った言葉が胸に刺さった。
「いろんなことがあったが、いまは僕たちのうたがすべてなんだ」
そう、アーティストは作品を残すんです。ほかのことは忘れるけど、「シェリー」はいつのまにか、人々の心のなかにしっかりと息づいているんだから。
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