ソウォン 願いのレビュー・感想・評価
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被害者家族を支える友人たちが、暖かい
性犯罪という重く不快なテーマであるが、被害者家族を支える友人家族やクラスメートが暖かい人たちが多く、救われる。特に父親の工場長夫妻と息子。韓国では、周りの人と助け合う様子が映画やドラマによく出てくると感じる。被害内容など表現しずらいこともしっかり表現している点は評価できますが、実際に被害にあったり近い経験をしたひとは避けたほうが良いと思う。
韓国映画はすきですが、その中でも高評価の良い映画です。※TSUTAYAでおすすめされていました。
ソウォンの願い、家族の願い
韓国で実際に起きた幼女性的暴行事件を基にしたヒューマン・ドラマであるが、何年か前の「トガニ」のようなエグい衝撃作を期待したら少々肩透かし。
勿論、目を背けたくなる見ていて辛い場面もあるが、本作は、被害者少女とその両親が受けた心の傷からの再生を描いた感動作。
「トガニ」とは違った意味で、非常に胸に突き刺さり、心揺さぶられた!
始まりは何気無い家族の日常。
雑貨店を営む働き者の母は妊娠中。
父は工場勤務。家に帰ると、妻や娘の話よりTVの野球中継に夢中。妻に「娘は私が育てるからあなたは野球でも見てて」なんて言われる始末…。
そして、娘ソウォンは活発でちょっとおマセな女の子。
思えばこの何気無い描写が、これからすぐ起こる事件との対比に効き、ラストの感動に一役買う事に。
ある雨の日、ソウォンが何者かから暴行を受け、重傷を負った。
病院に駆け付けた父母に状態を説明した医師の言葉にゾッとした。
大腸と肛門を摘出し、人工肛門を取り付けなければ命に関わる。
大腸と肛門を摘出し、人工肛門を取り付ける?
一体どんな暴行を受けたのか。いや、それほどの酷い暴行を受けたのだ。
現場に犯人のものと思われる指紋が残っていたが、確たる物証が無い。
ソウォンが犯人の顔を覚えていれば逮捕に踏み切れる。
娘の事を思い、犯人逮捕を強く訴える父。
娘の事を思い、事件の苦しみを思い出させるような事をさせたくない母。
犯人逮捕か、癒えるまでソッとしておくか、今娘の為にどっちが優先か。
結局、ソウォンに容疑者の顔写真を見せ、犯人逮捕に踏み切った。
これが迂闊だった。
犯人が逮捕されればニュースになる。ニュースになれば幼い娘がどんな目に遭ったか公に知らされる。
病院にはマスコミが殺到し、周囲の好奇の的に。
が、この被害者家族の苦闘はここから。
妊娠中の妻が倒れる。
娘は事件の後遺症から喋らなくなる。
そして、父にとって最も辛い事が。
ある事がきっかけで、ソウォンが父を拒絶する。
当事者も家族も深い悲しみと傷を負い、救いと癒しはあるのか。
本作は韓国で多くの賞を受賞。
父役ソル・ギョングの名演、主演女優賞を受賞した母役オム・ジウォンも素晴らしいが、何と言ってもソウォン役のイ・レ。
その愛らしさ、達者な演技は芦田愛菜級!
救いと癒しがあったのが本作だった。
まず、周囲の人々が善良。
パッと見性犯罪者みたいな父の同僚。裁判で今にも爆発しそうな父に変わって怒りを爆発させるシーンは胸打った。
性犯罪被害児童相談センターの車椅子の女職員。嫌がるソウォンに容疑者の顔写真を見せ、コイツ絶対ムカつく社会権力者だと思ったら!
彼女がこの仕事をしたきっかけとなった悲しい過去、車椅子の理由…。
未だ顔さえ合わせられない父と娘。
父が娘と距離を縮めるとするある方法がよくよく見ればコミカルでシュールなのだが、父の不器用な愛に目頭を熱くさせる。
少しずつ少しずつだが、傷が癒え始めるソウォン。また喋るようにもなり、事件の事も話し始める。
犯人にしたある対応が自身の不幸を招き、その事を咎められたというソウォン。
いや、彼女は何も悪くない。彼女は心の優しい女の子なのだ。
退院。家へ。
あの悲しみから立ち直り、また穏やかな日々が訪れると思った矢先…
裁判。判決。
それは余りにも不条理。
犯人の卑屈さにブッ○したい思いに駆られる。
これが法の限界か。
ラストシーンは、それから暫く経った日々。
冒頭と同じ何気無い日常に感動した。
自分たちが前向きに明るく生きる事こそ、犯人への本当の罰。
被害者に救い、犯人に報いを。
今作がどんな内容であるかも知らずに観て、面喰ってしまった。
何と酷い、恐ろしい性犯罪の被害者である一家の話なのだが、
これが実話で、8歳の少女がこんな目にあったことが許せない。
最近の日本も性犯罪が後を絶たず、それが幼女の連れ去りや
強殺事件であったりすることからも全く他人事では済まされない。
事件のおぞましさから、逮捕までの経緯を描く話かと思いきや、
あくまで監督はこの一家の再生に焦点を当てている。実に平凡な
普通の(やや中流以下なのだろうか)家庭であり、父母と娘の3人。
頭がよく機転の利く娘がある雨の登校時、不審者に連れて行かれ
暴行を受け瀕死の重傷を負う。身体にも心にも大きな傷が残った
我が娘を救おう励まそうと必死な両親をよそに、無罪を主張する
犯人の男。殺してやりたいほど狡猾で残忍な顔を持つ変態男だ。
父親は逮捕に協力する一方、男性が恐怖の対象トラウマとなった
娘のメンタル安定を目指し(日本でいうならゆるキャラか)被り物を
駆使して娘を宥め癒し続ける。これがもう、必死だけに泣けてくる。
どうして被害者側がここまで世間の噂や晒し者の対象になるのか。
解せないのと同時にやるせなく、これがもし我が家族にだったらと
胸やけがする始末。しかし今作にはその異常性を翻すほど愛らしい
娘の笑顔が広がっている。この豊かさと幸福を齎す精神力の強さ。
幸せに生きることが最大の復讐と、希望を糧に生きる家族が逞しい。
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