「音楽も物語もよかった。」はじまりのうた だいずさんの映画レビュー(感想・評価)
音楽も物語もよかった。
ダンとグレタがダブルヘッドホンで聞いていた、for once in my life!あのアレンジのこの曲、わたしのテーマソングのひとつ!でてきてとてもうれしかった。
スティービーワンダーのアレンジです。gleeでもアーティが歌ってたバージョンです。
シナトラやブーブレのも好きですけどね。
素敵な音楽があふれていました。
キーラナイトレイのウィスパーボイスも気持ちよかったです。
野外レコーディングも楽しくて素敵でした。
留守電に吹き込んだ別れを告げる歌がよかったです。キュートだけど悲しい歌でした。
でもでも、音楽的には、やはりやはりラストでアダムレヴィーンが歌ったlost starsがダントツ一番でした。あの声!ほんと素晴らしい!彼の本作での一番の仕事はあの曲でぐうの音もでないパフォーマンスをすることでしたね。すばらしかった。鳥肌たちました。
久しぶりにマルーン5聴き直します。
飲んだくれのプロデューサー・ダンと、アメリカに来てアッサリ彼氏に浮気されたグレタが、グレタの作った歌が縁で出会い、最悪な現状を打破してゆく物語です。
再起のストーリーはまぁよくあるかんじです。
が、よくある筋をよくあるやり方で撮り、ステレオタイプな人物が出てきてしまったら、陳腐の一言です。
本作は陳腐ではなかったです。
その要因は前述した音楽と、グレタのキャラクターだと思いました。
彼女の内面に強くフォーカスしてはいませんが、はしばしから読み取れたのは、自立していて、自分を知っていて、ニュートラルな人物像です。
デイブがいなくても1人を楽しめて、浮気を知ったらちゃんとすぐゆって、異国であろうがちゃんと距離をとる。
もちろん悲しいしムカつくから、友達と呑んだくれるけども、部屋で悪口言って歌詞を書くくらいの荒れ方。人に迷惑はかけない。
ダンとの間に流れかけた男女の匂いにも、簡単に流されない。
思春期の女の子への言葉も説得力がある。
本人はただ必死なだけでしょうが、かっこいい人でした。
そこが抜きん出ていたと思いました。
デイブのライブで、グレタは一筋の涙をこぼし、そして踵を返します。
あそこの彼女の気持ちが、すぐには分からず、帰りの道で考えました。
デイブはグレタの曲を、グレタが意図したアレンジで素晴らしく歌いました。
取られて悔しいとかではないでしょう。
元はグレタからのクリスマスプレゼントだった曲です。
デイブへの愛が溢れたからでしょうか?
違うと思いました。彼女はもうデイブへの気持ちにケリをつけていたと思います。
それではなんだったのか。
考えてもよくわかりませんでしたが、自作の曲にただ感動しただけなのかも、というところで落ち着きました。
客観的に自分の曲に感動して、自分で自分を誇らしく思ったのではないでしょうか。そして、素晴らしいパフォーマンスをしたデイブへの感謝もあったかもしれません。
最悪な現状を完全に脱した瞬間の涙だったようにおもいました。
ダンについては、最初のダメダメ部分が胸糞悪かったですが、グレタと一緒に制作を始めてからは、いい感じでした。
妻と元サヤは安易な気もしますがね、ダンは妻が好きなんですね。
本編には関係ないですが、観る前に映画好きの友達が、はじまりのうたよりストックホルムでワルツをの方が断然よかった!と言っていました。
それを聞いてからどちらもみましたがわたしははじまりのうたのほうが胸に迫りましたね。
受け止め方は千差万別ですね。