「小さな画面で観ても、スクリーンで観ても」はじまりのうた muさんの映画レビュー(感想・評価)
小さな画面で観ても、スクリーンで観ても
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もともと配信で何度か観ていて好きで、リバイバル上映で映画館に観に行きました。失望して失望されて大事なものを見失った人たちが、音楽を通してもう一度前を向いていく映画。
この映画が胸に刺さるのは、バラバラだった個々がだんだんとまとまっていく大団円感もそうだし、そんな体験をしたかけがえない人たちでさえ永遠に一緒に同じ方向は向けなくて、集まって円になったのがばらけて、また小さな円に分かれて終わっていくところまで、それを悲観的にではなくただまっすぐ描いているからかもしれない。
グレタが終盤、また音楽を作ろうよ、たとえばヨーロッパまで行ってさと言えば、ダンは曖昧に微笑む。
デイヴが髭を元に戻して、グレタのアレンジで歌を歌ったのを見届けても、彼女は完全に彼の前から去ることに決める。
グレタは聡いから、ダンの曖昧な笑みひとつで答えがわかるし、序盤のデイヴの歌では彼の心変わりもわかってしまう。その聡さはときにすごく生きづらくさせるものだと思うけど、でも彼女の凛とした美しさに背中を押される感じがする。
落ち込んだ時、よくパソコンを開いて部屋でひとり観ていた。映画館で観たら、ひときわ音楽が際立っていてよかった。ついライブを聴いてるみたいに拍手しそうになった。
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