「一方の側の視点で描かれており公平性に欠ける」チョコレートドーナツ いもりりさんの映画レビュー(感想・評価)
一方の側の視点で描かれており公平性に欠ける
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主人公と逆の立場からの感想。
まず、児童養護施設をひとくくりで地獄扱いするのはどうか。
もちろん施設ごとの良し悪しはあるだろけど、
「児童養護施設=子どもの不幸」は一種のレッテル張りだろう。
実際に行って幸せになった子や、子のために真剣に働く従業員は多数いる。
それと、差別と関係なくそもそも主人公に監護権を与えるべきだろうか。
監護権とは、要は親の代わりになるという話で、とても重い。
現実の裁判では、想いが通じたとかの抽象的な理由で簡単に渡せる権利ではなく、
ただの隣人でしかも正規の手続を踏み倒し続けた人物に与えてよいものか、という話である。
また、実話を基にしているのかしらないが、そうであれば猶更、
公平を最重視する近年の裁判官が簡単に差別を振りかざすようにも思えない。
要は、逆の立場だったら当然主張するだろう事実が描かれておらず、
あくまで主人公の一方的な目線で描かれており、不公平さを感じる。
主人公は愛に溢れていると思うけど、それはそれ。
親子愛だけならともかく、社会問題も提起する映画なのであれば、
感情論・結果論で主人公の正当性をゴリ押しするのではなく、
必要な事実は描いてほしかった。
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asicaさんのコメント
2020年9月30日
非常に納得するレビューです。映画としての完成度は私的にはこれだろうなと思うものの実社会ではこの思考が不可欠です。女性裁判官の視点をもう少し掘り下げると良かったのでしょうか。三年も前のレビューにコメントさせて頂いております。すみません。