「人から信頼されるにはどうしたらいい?」フライト・ゲーム かちかち映画速報さんの映画レビュー(感想・評価)
人から信頼されるにはどうしたらいい?
「全てを疑え」
この映画のキャッチコピー通り、俺は全てを疑いながら生きている。
昔から人を信頼することが苦手。友人といても「本当に俺のこと友人と思ってくれているのかな?」と思ったり、彼女といても「本当に俺のこと好きなのかな?」と思ったり、つねに疑ってしまう。だから俺は友人が非常に少ないし、親友と呼べる人は一人もいない。彼女は3年間いないし、恋愛する気もまったく起こらない。俺は人を信頼して裏切られるを恐れているのだ。
人から信頼されるにはどうしたらいい?それはまず自分から相手を信頼することが大切だと、この映画を観て学んだ。
今作の主人公ビル・マークスは人を疑ってばかり、そのためか逆に周りからの疑いの目を向けられてしまう。
ビルは娘をガンで亡くし、妻とは別れ酒浸りの日々を送っている。セリフがほぼない冒頭のシーンから悲壮感が漂う。上の空で話は無視、愛し合うカップルを虚ろな目でみる表情、これらの数カットだけでビルの抱える闇がみえた。
事件に巻き込まれてからの彼は容疑者を問い詰めていく。暴力もあり、さすがにやりすぎじゃないか?観ていて怖くなった。
そんな彼のことを信頼してくれる人物が現れる。隣に座ったジェンと、客室乗務員のナンシーだ。正当防衛で殺人を犯してしまったビルは、ナンシーに事情を説明し彼女は怯えながらもビルを信頼する。飛行機に乗る前に、ビルが少女に勇気づけるのを目撃したのが信じてくれた要因だと思う。善い行いを日頃からしていれば、それが信頼につながることもあるのか。
ジェンは最初から最後まで味方でいてくれた唯一の存在。彼女がビルを信じた要因は出会いのシーンだと思う。離陸に怯えるビルが娘からのお守ぎゅっと握りしめる、その姿をみるジェンの表情がとても優しく、ビルを信頼しているようにみえた。途中二人は喧嘩をするがビルの勘違いだと知り謝罪し仲直りする。ビルが心を開いた瞬間だった。
信頼される人間になるには日頃から善い行いをすること。そして自分から相手を信頼すること。そうすればジェンやナンシーのように、最後まで自分のことを信頼してくれる人に出会えるかもしれない。裏切られるリスクはあるかもしれないけれど、まずは信じることから始めたい。全てを疑いながら生きる人生なんて悲しいから。