「偽りの無い自分でいられるか」リーガル・マインド 裏切りの法廷 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
偽りの無い自分でいられるか
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見始めた時は平凡な法廷サスペンスだと思った。
アル中で娘の親権を奪われた女性弁護士ケイト。
立ち直る為に、冤罪の可能性がある女性レイシーの弁護を引き受ける。
このまま平淡に展開するのかと思いきや、意外に引き込まれ、なかなか面白かった。
元々やり手の弁護士のケイト。
あっという間に警察の不正や検察の偽証を暴き、裁判は有利な方向へ。
一度は有罪判決を受けたレイシーを一転、見事無罪を勝ち取る。
アルコールも飲まなくなり、再び娘と過ごす時間も出来、共同経営者の話も舞い込み、最高の形で立ち直ったかに思えた。
が、まさかの真実が…!
正直、レイシーの“本当の顔”は何となく予想出来た。
あれだけ鮮やかに検察の隠蔽を暴けたのに、何故レイシーの素性に気付かなかったのかツッコミ所もある。
アル中もそれほど重石になっておらず、仕事に没頭する余り娘と溝が出来てしまった…だけでも良かったと思う。
しかし、本作は二転三転する法廷サスペンスではなく、ある一人の女性の本当の意味での再起のドラマなのだ。
アル中はそんな彼女の弱さ・脆さ。
やり手で正義感が強いという事は、プライドも高いという事でもある。
自分のミスを認め、それを正せるか。
脆い自分を受け入れ、娘に相応しい母でいられるか。
自分に偽りなく。
ケイトを演じるケイト・ベッキンセールが、女性のカッコよさと弱さを凛とした魅力で好演。
判事ジェームズ・クロムウェルも素晴らしかったのに、あんな下心があったなんて…。
ニック・ノルティーがさすがベテランの引き立て役!
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