ファイ 悪魔に育てられた少年のレビュー・感想・評価
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怪物に育てられたら怪物に・・・
この手の作品によくあるのは義賊なのだが、最初からばんばん殺人を犯す冷酷非道な犯罪者集団。ファイは幼少期に誘拐され、実の子供のように育てられ14年が過ぎていた。5人の男たちをそれぞれ「アボジ」「パパ」などと呼び、従順になくらいに育ったのだ。17歳の少年ファイは学校にも行かなかったが学生服を着せられ、彼らの手伝いをするようになっていた。ソクテは彼を実戦へと駆り出そうとするのだが、人を撃とうとするとき、ファイの目の前に怪物が現れ拒絶してしまうのだった・・・
あるとき、地上げ屋の仕事が舞い込み、一軒だけ立ち退かない家に押し入るため、ファイが鍵を開けることになったが、実はその家族はファイの実の親が住んでいたのだ。警察に見つかりそうになり、慌ててお父さんたちがかけつけ、ファイにその家の主を殺せと命じる。ファイはなんとなく気づいたが、お母さんだけは生かせておかなきゃ!と思いきや、お母さん自力で逃げていきました。証人となる人物はことごとく始末してきた白昼鬼の面々。中には警官もいたりして、完全犯罪を続けてきたくらいだ。そして、次はお母さんが危ない!とファイは彼らから実の母親を守ろうと単独行動に出るのだった・・・
広大な土地を取得したチョン会長の部下たちと白昼鬼を鉢合わせさせるように仕組んだファイは彼らを殲滅させようとするのだが、ソクテは生き残り、ついに母親をも殺してしまう。そして果樹園を営む彼らの最終決戦へと・・・
主人公はあくまでも人を殺さずに・・なんて甘いストーリーではない。怪物に育てられた子供は怪物に育つのだ。そんな自分が憎くもあり、得意な絵の才能を開花させたいとも願うが、悪魔の血をぬぐうことはできない・・・。そんな悲しい主人公。唯一の救いは、出会った女子高生とのほのかな恋愛。ラストには明るい希望さえほのめかされる・・・
唯一わからなかったのは、ソクテが実の父親ではなかったのか?という点。孤児院で育てられた彼らが実の母親をレイプしたなんてシーンも挿入されていたし・・・
深淵
なんとも分厚い脚本だった。
犯罪のスペシャリスト達に誘拐された少年。
狙撃、運転、格闘、銃、ピッキング。
それぞれのスペシャリストが彼の父親だ。
幼少期から遊びの延長で、それらに馴染み会得していく。
面白いのが、愛を与えられ続けている点。
彼は彼らに愛され続けてた。
本当の父親を、自らの手で撃った事により、父親たちへの復讐が始まる。
見応えある。
それぞれの分野で、父親達を凌駕していく少年。英才教育を施した自らの作品が相手。
スピーディなボディアクションもさる事ながら、カーアクションも臨場感があり絶品だった。
何より、日本では規制がかかる「血」の表現力はやはり見事。
凄惨だし、憐れだし、凄みも十二分。
濃密な作品で見応えあった。
そして、タネはこれだけではない。
彼の本当の父親は、彼を誘拐した主犯格の男だったのだ。
この設定があるが故に物語は螺旋を描くかのように複雑さを帯びる。
その父親からの目線が後半ぐっと存在感を増す。技術は伝えられる。でも、覚悟は芽生えるものなのだ。
同族を育て上げるとでもいうのだろうか?
父親は孤独だったのだと思う。
彼は、本当の意味で彼の息子。彼の血を引き継ぐ誰かを残したかったかの様に見えた。
理解者なのか、無条件に自分らしさを注げる対象なのか。
この辺りに、韓国映画の血脈を感じる。
重厚なテーマをガッツリはめ込んでくる。
かくして
心優しき冷酷な殺人者が出来上がった。
目をひいたのが、会長の側近。
彼はいわゆるその筋の人間なのだが、表向きは青白い几帳面なイケメンにしか見えない。
だが、刑事に脅しをかける時の豹変ぶりときたら鬼気迫る。
勿論、そのやり方も、それを見せる編集も見事なのだけど、このギャップこそが、韓国映画の生命線にも思え見応えあった。
めちゃくちゃ面白い
ストーリーの構成が滅茶苦茶面白い。どうなっちゃうの?と思っているととんでもない事が起こってずっと心を鷲掴みされっぱなしだった。
キム・ユンソクの怖さと憂いを感じさせ、すごい存在感で不死身っぷりも無理がなかった。
里子に関心があるので、こういったとんでもない形の里子でも、すごく心が通い合っている感じが素晴らしかった。ファイはちゃんと学校に行っていたのだろうか。
カーチェイスもガンアクションも格闘アクションもすごくスリリングで見ごたえたっぷりだった。
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