劇場公開日 2014年4月19日

「抗えない不快感と芸術性…」ファイ 悪魔に育てられた少年 D.oneさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0抗えない不快感と芸術性…

2020年6月1日
iPhoneアプリから投稿

 目を背けたくなるのは劇中の過激な暴力描写なんかではなく、救いようのない残酷な運命を背負ったファイと、アボジ(父)であるソクテの堕ちた姿です…
 ファイの絶望的な宿命と葛藤は観る者の心にグッと突き刺さりますが、個人的にやっぱりポイントなのはソクテですね。自らが背負った汚点はもう決して拭えないという虚無感、墜ちたらもう墜ちるところまで堕ちてやる!というような堕落した精神、、、 絶対的に陥りたくない人間のものすごい嫌な部分をそのまま映し出したようなクズっぷりは、観る者の闇の部分を誘い出しているような不快感を覚えてしまいます。
 相変わらずキムユンスクの悪役ぶりはお見事です。「哀しき獣」と同様、不快だけれども一種の芸術性を感じてしまうような作品にしてしまう魅力と底力、、、凄いですね。

D.one