「前編だけでは全くわからない」ソロモンの偽証 前篇・事件 えのきちさんの映画レビュー(感想・評価)
前編だけでは全くわからない
『ソロモンの偽証 前編・事件』を鑑賞。
宮部みゆきの同名小説の映画化である。
クリスマスイブの夜、一人の生徒が校舎屋上から転落死した。警察は自殺と断定するが、殺害現場を目撃したという告発文書が届く。果たして自殺なのか、それとも他殺なのか。生徒達は真相を究明するべく校内裁判を開廷する事に決める。
プレミアム上映会にて鑑賞したので、前編と来月公開の後編を一気に観たのだが、取り敢えず前編の感想から。
原作は文庫本6冊2,000ページにも及ぶ大作である。
それを二部作とは言え5時間程度にまとめるのだからある程度は想定はしていたが、やはり展開が早すぎる。
明らかに登場人物に対する説明が足りておらず、中には行動原理が意味不明なものも出てくる始末。観客は必死で喰らいついていかなければ細かい伏線を見逃してしまう恐れがあるので注意が必要だ。
設定の変更や登場人物を減らすなどの工夫により、物語自体は概ね原作通りに展開していく。
この辺りは原作に対する敬意が感じられて好感が持てる。
冒頭に書いた通り今作は二部作となっており、来月に後編が上映される。
つまり、前編だけでは映画として全く成立していない。
過去色んな二部作を鑑賞してきたが、今作ほどえげつない終わり方はあるまい。
まるで、テレビドラマでCMへの切り替わりの如くブツ切りなのである。ストーリー上、途中で切りにくいのは理解できるがもう少しキリが良い箇所があったのではないかと思う。
そんな訳で前編が終わったらすぐにでも後編が観たくなるので、後編の公開がもう少し近づいてから、もしくは後編が公開されてからまとめて観る事をオススメする。
今作(前編)の感想は恐らく皆共通してこうだろう。
「はぁ!? そこで終わりかい!!」
後編は4月11日公開。
それまでの辛抱である。