「原作のすばらしさに感動あらた!」ソロモンの偽証 前篇・事件 takahapapaさんの映画レビュー(感想・評価)
原作のすばらしさに感動あらた!
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前編・事件では、三宅樹理の稚拙な復讐心や自戒せずにはいられない藤野涼子の真っ直ぐな性格のほか、後編に向けてポイントとなる死んだ柏木卓也の歪んだ性格や大出俊次の根の優しさなどが上手く伏線として映し出されていきます。しかし、神原和彦についてだけは、生い立ちが少し披露されるものの多くは語られず、巧みに、その影が薄くされています。なるほど、これなら、後編では彼の存在が一層際だつことでしょう。また、原作では、野田健一も、ある意味、重要な存在なのですが、その辺が本作ではどう描かれているのか、それも気になるところです。それにしても、藤野涼子さんは、40年前の紺野美沙子さんそのままという印象でした。
宮部みゆきファンの中には、前に別の映像作品でガッカリさせられた方も少なからずいるようで、わざわざ映画で観なくても・・・と思っている方も多いのかも知れません。でも、本作は、映画として観ると、改めて原作のすばらしさを思い知らされる作品のような気がします。全てが映像化できるわけは無いので、なおさら、本当によく書かれた傑作ミステリーだと、原作に対する評価がさらに高くなりました。そして、それには、わざわざアナモレンズという古い時代のレンズを使ってシネマスコープで撮り、微妙に画面を揺らせてみせた成島監督の本作への思い入れも、大いに利いています。
ガッカリさせられることなど決して無く、原作のすばらしさを改めて気付かせてくれるとても丁寧かつ巧みに撮られた作品です。すぐに、後編を観たくなります。
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