「引き込み方が凄い」ソロモンの偽証 前篇・事件 ぽりおさんの映画レビュー(感想・評価)
引き込み方が凄い
最初に原作では説明されていた部分が映画だと説明されていないところがあるとのことですが原作は読んでいません。
■演技・役者
本物の学生さんを集めてオーディションをしたとのこと。一人一人のポテンシャルはかなり高い演技力を感じましたが、キャラクター設定の関係で若干損をしているイメージがあります。難しいところなんですが、キャラクターがきっちりし過ぎてて、というか大人過ぎて、一部の役にちぐはぐさが若干感じました、
あと大人の俳優さんのほうが子役に合わせた演技ができていなかったかもしれないですね。
■画・音
学生を起用しているとどうしても声変わりなどがあって重みがない作品が多いんですが、今作は違和感ありません。ボソボソ喋っていて何言ってるかわからないというところが少なく、かなりレベルが高いです。BGMはほとんどありませんが、大事なシーンや回想シーンで感情を反映する形でしっかり使われていて悪い印象はありません。
登場人物が多いせいでひとりひとりが何をしているかまで見通せないことに前後半見鑑賞後に前半から見返して気づきました。一人一人考えこまれて動いていることに気づきました。
■脚本
時代背景が1990年なので、現代の余計な要素を省けており見やすい。
キャラクターは多いが丁寧に描写されており、わかりやすい。
現実感のある事件や人物描写からいかに、非現実的な学校裁判を起こすか、そして大人をそれに巻き込めるかが本作に於ける起承転結の最大のポイントですが、その点においては動機の面で結びつきが少し弱いイメージがあり、一足飛びに感じました。それに大人が乗っかることでさらにちぐはぐさを感じました。
もう一つ。事件そのものに関する大人たちの行動が逐一気になりました。割りと開幕で学校の先生の発言で気になるところがあったので、結構引きずってしまいました。キャラづけの為に必要だったのかなと見返してみると感じるのですが……。
三宅さん自身や家庭の描写が非常に丁寧で見てて主人公たちよりも引き込まれました。前半に於けるオチの次回作どうなるのかと感じさせる引きは完璧です。
■総評
後半のための前半なのですが、これ単体でみても色々考えさせられて面白いです。