劇場公開日 2014年9月13日

  • 予告編を見る

「今も続いているグレタ・ガーウィグの物語」フランシス・ハ つとみさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0今も続いているグレタ・ガーウィグの物語

2023年11月22日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

主演で脚本も手掛けたグレタ・ガーウィグといえばフェミニズム映画の最先端にいる監督だと思っている。
本作で監督は務めていないが女性を視点にした作品群は自然とフェミ映画へと仕上がっていく。
グレタ・ガーウィグがなぜ最先端だと思うかというと、多くの間違ったフェミ映画とは一線を画すからだ。
間違ったフェミ映画は、これからの女性はこうあるべきという押し付けが酷い。そんなもの本人に選ばせろと言いたくなる。結局「これからの女性」という足枷で型にはめようとしてくるならばフェミの皮を被ったアンチフェミのようだ。

その点グレタ・ガーウィグは違う。
過去に幾度となく男性を主人公にして作られてきたものを女性主人公に変えただけなのだ。
つまり男でも女でも同じ、性別で物語は変わらないのである。
「女性だから」「女なのに」という前置きの排除こそが本来のフェミニズムであり、こんな簡単なことがほとんど誰もできておらず、それをいとも簡単に作品にしてしまうグレタ・ガーウィグは最先端フェミ監督だと思う。

グレタ・ガーウィグは「レディ・バード」で自分のことを作品にしたという。
本作もまたグレタ・ガーウィグ本人が反映されているように感じる。
女優としてはイマイチパッとしない彼女は監督、脚本家として名が売れた。本当は女優として成功したかったのかもしれないなと、本作の主人公フランシスとかぶるのだ。
しかし、まだ続いていくことを示唆するような「フランシス・ハ」のエンディングは、今のグレタとやはりかぶり、良かったんじゃないかと思えるのだ。
大人になることは夢の終わりというわけではなく、形を変えて続いていく。今のグレタ・ガーウィグを知っているとあたたかな気持ちになれる。
やはりこれはグレタ・ガーウィグの物語だ。

コメントする
つとみ